2014年06月21日

横のライン(下半部)に働きかける/ボディワーク入門講座

6月20日、よみうりカルチャー恵比寿主催の「ボディワーク入門講座」(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「横のライン(下半部)に働きかける」でした。
前回、上半部(腸骨稜より上)がテーマでしたので、今回はその続きです。

講義で腸骨稜、大臀筋、中臀筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯について話し、筋膜リリースの実習でそれらを施術対象にしました。

大臀筋は人間が直立することによって今のような形状になりました。
人間の他に二足歩行ができる動物というと、猿やチンパンジー、ゴリラなどを思い出すでしょうか。
彼らは二足歩行はできますが、人間のように「直立」することは難しいでしょう。
彼らの臀部を観察すると、人間のような豊かなふくらみはありません。
人間の臀部のふくらみは大臀筋によるのですが、人間と他の動物ではこの筋肉の形状や強さが違います。

人間の大臀筋は、隣接する他の筋肉と比べて肥大し、発達していますが、猿やチンパンジーの大臀筋は小さく、それほど発達していません(ちなみに、馬の臀部は豊かに見えますが、あれは筋肉で言うとハムストリングスなのです)。

人間が直立するために、大臀筋はどのように役立っているでしょうか。
大臀筋の働きとしては股関節の伸展、外旋、外転、内転がありますが、なかでも伸展の働きが最も強いでしょう。
この働きによって、大腿骨の上に骨盤や体幹を持ち上げることができます。

そしてそれだけではなく、大臀筋には+αの働きがあります。
大臀筋は腰背腱膜に付着しています。
腰背腱膜は脊柱起立筋群を包み込みますが、この腰背腱膜の緊張を調整することで腰部に(前後方向の)安定性を持たせ、かつ脊柱起立筋群を支持します。

また大臀筋は腸脛靭帯に付着し、大腿筋膜張筋と共にその緊張を調節し、膝関節をも安定させます。
腸脛靭帯は大腿部を包み込む浅筋膜の一部が肥大化したものなので、結果として大臀筋は大腿部全体を支持し、下腿部や足部にまで影響を及ぼします。

以上のことを考えると、大臀筋は安定筋と言えるでしょうか。
安定筋というと、小さめで、関節に接して走行する筋肉、あるいはインナーマッスルというイメージがあるかもしれません。
大臀筋は大きく、表層にある強力な筋肉ですが、その働きからすると間違いなく安定筋の1つと言えるでしょう。

中臀筋については、受講生に皆さんに動いていただき、触察していただきながら話しました。
大臀筋と同様にその形状、働きについて説明しました。

片足立ちで立ち、立ち足に体重をかけるように上体を傾けたり、反対方向へ傾けたりしながら触察すると、中臀筋の働きは強くなったり、弱くなったりします。
歩きながら触察してみると、脚の動きに合わせて中臀筋の線維がいろいろに働き、それにつれて全体の形状が変わっていくように感じられます。
動かし方、体重のかかり方によって、中臀筋はマルチに対応できるのです。
やはりこの筋肉も安定筋です。

筋膜リリースの実習では、大臀筋、中臀筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯に対して効果的に働きかけるテクニックをお伝えしました。
セルフ・リリース、ペア・リリースを順に行いましたが、セルフ・リリースでは腸脛靭帯に対する働きかけを通して、他の3部位も含めて変化を起こす方法を、ペア・リリースでは4部位に働きかけ、それらをバランスしていく方法をお伝えしました。
変化が素早く大きく起こるので、受講生の皆さんは驚かれていました。


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