2014年10月02日

注意と運動学習

Gabriele wulf 著/福永哲夫 監訳/水藤腱、沼尾拓 訳『注意と運動学習 動きを変える意識の使い方』(市村出版)を再読した。
本書では、注意に関する問題が取り上げられている。
効果的な運動学習のためには、注意をどのように用いればよいのか、あるいはどのような用い方が運動学習を妨げるのか、などに関して述べられている。
運動学習理論が基礎になっている。

運動自体に注意を向けると、本来は非(無)意識的な運動制御の過程に意識的に介入することになり、その過程を妨害する。
それが著者の主張である。
それなので、運動自体から注意を逸らすために、運動の効果に注意を向ければよい、としている。
著者の言葉を用いれば、「インターナルフォーカス」(=運動自体に注意を向ける)から「エクスターナルフォーカス」(=運動の効果に注意を向ける)に注意の向け先(対象)を変えるということ。

これは、運動学習の過程を速やかにする1つの方法であろうが、実際に用いてみると問題点が多い。
まず巧緻的な技術を学習する際には、上手く機能しない。

オープンパス・メソッド(R)では、トレーニング(オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング)の中で、本書とは異なる方法をお伝えしている。
注意の対象ではなく様態を変えるのだ。
すなわち、能動的な様態(通常の様態)(*)から受動的な様態へと。

(*)「インターナルフォーカス/エクスターナルフォーカス」はこの同じ様態において論じられている。

注意の能動的な様態を、オープンパス・メソッド(R)では「能動的注意集中」と呼ぶ。
これは、注意を一点に向ける集中の仕方である。
身体的な緊張を招くので、「緊張集中」とも呼ばれる。

受動的な様態のほうは「受動的注意集中」と呼ばれる。
これは、対象に対して受動的、分散的に注意を向けることである。
身体的な弛緩状態を伴うので、「弛緩集中」とも呼ばれる。
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