2015年02月01日

第9期オープンパス認定パルペーション・トレーニング第28回

1月29日、第9期オープンパス認定パルペーション・トレーニング第28回が開催されました。
今回は、頭板状筋、頭半棘筋、広頸筋、顎二腹筋、顎舌骨筋、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、側頭筋の8筋を触察実習しました(今回で、113筋の触察を行ったことになります)。

今回は触察実習の他に、ホールディングの仕方についてお伝えしました。
例えば、ホールディングが安定していないと、被触察者は安心して身体をあずけることができず、どうしても余計な力が入ってしまいます。
そうなると、目標部位に手指が届かなかったり、隣接し合う器官を鑑別できなかったりします。


【頭板状筋】
起始:項靭帯下半、第4頸椎〜第3・4胸椎
停止:上項線外側1/3、側頭骨乳様突起(胸鎖乳突筋の下層)

【頭半棘筋】
起始:第4〜6頸椎関節突起、第7頸椎横突起尖端部、第1〜6・7胸椎横突起尖端部
停止:後頭骨(上項線と下項線の間)

頭板状筋と頭半棘筋の図ですが、両図に描かれた肩甲骨は共に下制しすぎています。
9-28-1.jpg

頭板状筋と頭半棘筋については、僧帽筋も加えた層構造(それらの関係性)について説明しました。
もっとも表層にある僧帽筋については、問題なく他の2筋と鑑別できます。
頭板状筋と頭半棘筋の場合には、これら2筋の作用の違いを利用して鑑別する必要があります。
特に伸展と回旋において違いがあるので、それを利用して行います。
違いは以下のとおりです。
伸展において:頭板状筋は頭頸部を、頭半棘筋は頭部を伸展させます。
回旋において:頭板状筋は同側に、頭半棘筋は反対側に回旋させます。

頭板状筋を触察しています。
9-28-2.jpg

頭半棘筋を触察しています。
9-28-3.jpg


【広頸筋】
起始:大胸筋・三角筋前部筋膜
停止:下顎骨下縁、顔面下部の皮膚

9-28-4.jpg

頸部筋群の中では、この広頸筋だけが皮筋です。
またこの筋には、大きさ、形状にかなりの個人差があります。
口角を後方、下方に引いて、口を「へ」の字に曲げると、側方に大きく張り出します。


【顎二腹筋】
起始:前腹;二腹筋窩(下顎骨下縁内側の圧痕)/後腹;側頭骨乳突切痕
停止:中間腱として舌骨小角付近の線維性滑車によって支持される

9-28-5.jpg

舌骨小角に触れようとすると、それを覆うように線維組織があります。
弾性軟骨のような触感ですが、それが顎二腹筋の停止部である線維性滑車です。

線維性滑車から二腹筋窩に向かうのが前腹、乳様突起の深層(乳突切痕)に向かうのが後腹です。
触察すると、前腹にはかなり個人差があります。
左右の前腹の作る角度やそれぞれの形状に、しばしば違いが感じられます。


【顎舌骨筋】
起始:下顎骨(オトガイ結合〜顎舌骨筋線全長)
停止:舌骨体、オトガイ結合から舌骨に延びる線維縫線

9-28-6.jpg

顎舌骨筋は、顎二腹筋のすぐ下層にある薄い板状の筋です。
筋線維は、オトガイ結合から舌骨体をつなぐ線維縫線に向かって走行します。


【胸骨舌骨筋】
起始:鎖骨内側端後面
停止:舌骨体下縁

9-28-7.jpg

胸骨舌骨筋は、甲状軟骨に沿って、そのすぐ外側を走行します。
胸鎖乳突筋の深層、鎖骨内側端後面に起始し、舌骨に向かいます。


【肩甲舌骨筋】
起始:肩甲骨上縁、上肩甲横靭帯(肩甲切痕を横切る)
停止:下腹→鎖骨に線維を付着→中間腱→上腹(胸骨舌骨筋外側縁と接する)→舌骨体下縁外側部

9-28-8.jpg

肩甲舌骨筋は、起始部の触察が少し難しかったかもしれません。
鎖骨の頭側(僧帽筋下行部内側)から肩甲骨上縁(上角外側)に手指を差し入れれば、触れることが可能です。


【側頭筋】
起始:側頭窩、側頭筋膜内面
停止:下顎骨筋突起尖端、下顎枝前縁

9-28-9.jpg

側頭筋は、側頭窩(起始)という窪みに嵌るように付着しているので、その外縁を正確に辿ることが可能です。
停止部である筋突起は、大きく開口すればその先端を確認することが可能です。
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