今回のテーマは「疼痛解消テクニック(その5)」でした。
今回の前半は、疼痛に関する講義から始めました。
ボディワークが技術的に疼痛を扱えると言っても、医療の代わりにはならないし、ボディワーカーは医者の真似事をしてはなりません。
最初に、改めてそのことをお伝えしました。
クライアントが疼痛を訴えたなら、最初に病院で診察を受けること、医療的な検査を受けることを勧めなければなりません。
私たちがそのクライアントとセッションの時間を持てるのは、その後のことです。
例えば、クライアントが頭痛を訴えたとします。
頭痛には、ボディワークで扱えないもの、あるいは医療でないと症状を解消できないものがあります。
群発性頭痛や突発性片側頭痛、あるいは部位的に近いものとして三叉神経痛や舌咽神経痛などは、薬物で対応しなければなりません。
私たちが扱えるものは、緊張型頭痛、あるいはトリガーポイントに関わるような症状などです。
今回の講義の中心は、疼痛が発生するプロセスに関するものでしたが、以上のことを考えると、ボディワークが対象にできる疼痛は、筋痛症の類であり、要するに、負担のかかる姿勢や動作などが原因で発生するものでしょう。
負担のかかる姿勢は筋緊張を伴いますが、それが続くと、筋の持続的収縮(筋収縮インパルスの連射)が起こるわけです。
また、負担のかかる動作(例えば過剰な負荷、急激な動き)によって、筋が過剰に(あるいは急激に)伸長されます。
そうなると、筋紡錘は反射緊張度を増し、高い緊張レベルに再設定(高い緊張が持続・維持)されてしまいます。
結果として、筋の拘縮、体液循環の低下が起こり、酸素不足、血管の過剰な増殖(神経線維を伴う)、発痛物質の発生などを招きます。
続く講義では、侵害受容器による伝達、新・旧脊髄視床路などに関して簡単に図説しました。
痛みの心理的(認知的)側面に関しても、以前に説明していたこともあり、簡単に触れるに留めました。
実習では、受講生の方々のリクエストにより、肩関節周囲炎に対するアプローチ(主にホールディングの方法)、圧痛点の探し方に関わってデモンストレーションを行い、その後に受講生とうしでペアを作ってのショート・セッションとなりました。
疼痛解消テクニックは、(1)膜連続体、(2)筋生理(主に筋紡錘)、(3)体液、(4)認知(記憶)という4項に対して、同時並行的にアプローチします。
それにより、素早く大きな効果を上げることができるわけですが、そこが難しいところでもあります。
しかし、今回で疼痛解消テクニックの実習は5回目になることもあり、受講生の皆さんの上達度はかなりのものです。
◇以下の画像は、今回の実習風景です。



◇的確なホールディングが大き
な効果を生みます。(斎藤講師
の施術)
