2015年05月18日

第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第11回

5月17日、第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第11回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。

今回は、セッション実習(前回、時間切れで行えず、今回に持ち越した1組のセッション)から始めました。
セッションの目標設定から始めていただいたのですが、クライアント役の方の表現が想像的かつ独特で、ワーカー役の方が苦労されていました。
前回までは、途中で口を挟まずに、カウンセリングからワークまで自由に行っていただき、セッション終了後に皆(見学者全員)でコメントするという形で進めたのですが、難しい展開になるような気がしたので、目標設定の段階で介入しました。
クライアント役の方が、自分の身体に関して「広い」「明るい」「光を感じる」などの表現を使っていらしたのですが、これらの言葉を具体的な身体関連語に還元していく作業をしていただきました。
また、ワーカーはなるべく自分を「空」にして応答すること、クライアントの身体認知を高める応答を心がけることなどをお伝えしました。

その後に行った質疑応答の中で、カウンセリングは主訴を形成する作業だということを強調しました。
主訴はクライアントによって持ち込まれるものではなく、カウンセリングの場で作られるものです。
オープンパス・メソッド(R)のボディワーク・セッションは、「クライアント・センタード」で進められるのですが、それはクライアントの言いなりになるのでも、自らの責任を放棄するような進め方をするのでもありません。
クライアントと協力し、クライアントが納得するような形でセッションを運ぶために、カウンセリングにおいては(ワークだけでなく)、「主訴の形成」「目標設定」という技術を駆使します。


セッション実習の後、横紋筋の特徴(注1)、運動単位(注2)、ワーキングメモリ(注3)についての講義を行いました。

(注1)筋肉を形状によって区別すると、横紋筋と平滑筋に分けられます。
横紋筋には骨格筋と心筋があり、それらを働きから見ると随意筋と不随意筋になります。

(注2)1個のα運動ニューロンに支配される筋線維の数のことを言います。
1個のα運動ニューロンが多くの筋線維を支配するとダイナミックな動き(力強い収縮)を、少ない筋線維を支配するとデリケートな動きを生み出します。

(注3)学習、記憶、熟練に関連付けて解説しました。
また、注意(注意分散、弛緩集中、受動的注意集中)がワーキングメモリの活用においてどのように働くかを説明しました。

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実習では、筋紡錘、ゴルジ腱器官に働きかける技術をお伝えしました。
スタティックムーブ、マッチメイキング、マッスルコーディネーションの3技術です。

今回は、参加者人数が奇数でしたので、私も実習に加わりました。
実は上記の3技術は斎藤講師の考案したもので、私は初めて体験したのですが(私も講師のはずですが・・・本トレーニングは斎藤講師が主になって進めていますので(汗))、驚くべき効果です。
早速、実践できそうです。


最後に、予備動作についての講義と演習を行いました。
予備動作とは、ある動作の準備として行われる動作のことです。(注4)
この動作を観察、把握できると、ソマティカルワークにおいて適切なムーブメントを創作できます。

予備動作は見えないことが多いのですが、この見えない動作を改善するだけで、見える動作(リーチ動作、歩行動作、投球動作など)が大きく変わることが多々あります。

(注4)身体を用いたある技術を習得するとします。
初心者がその技術を行うと、予備動作はあからさまに見えます。
ところが習熟者が行うと、ほとんど見えないか、技術を遂行する一連の流れの中に吸収されてしまっています。


画像は予備動作を特定しているところです。
高い触察力があれば、どんな予備動作も見つけ出せます。
習熟した動作の中にも、筋線維の「うごめき」を探り出すことができます(習熟者の方々はそれを否定するかもしれませんが)。
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