今回の触察対象は、僧帽筋、小菱形筋、大菱形筋、広背筋、大円筋、腹直筋の6筋に加えて、骨盤帯周囲の骨指標+αでした。
僧帽筋の触察は、被触察者座位および腹臥位で行いました。
骨指標として、外後頭隆起、後頭骨上項線、鎖骨、肩鎖関節、肩峰角、肩峰内側、肩甲棘、棘三角などを確認し、下行部、横行部、上行部の順に触察しました。
各部間の境界は、触察者がムーブメント誘導を正確に行うことで、容易に鑑別できます。
上行部が広背筋と重なる部位の触察が少し難しかったようです。


小菱形筋、大菱形筋の触察は、上層にある僧帽筋を相反抑制した(肩甲骨を下方回旋位にした)上で行いました。
骨指標として、棘三角、肩甲骨内縁、肩甲骨下角などを確認しました。
両筋を正確に触察するためには、ホールディング(被触察者の腕部をどうホールドするか)とムーブメント誘導に多少のコツが必要です。



広背筋の触察は、被触察者腹臥位および背臥位で行いました。
起始部である椎骨部、仙骨部、腸骨部、肋骨部、肩甲骨部の5部と、停止部である上腕骨小結節稜を加えた全6部を順に辿りながら、全体を触察しました。
筋腹が腱膜に移行する部位(個人差があります)、腰三角、外腹斜筋と噛み合う鋸状部位なども正確に捉えました。


大円筋の触察も、広背筋と同様に被触察者腹臥位、背臥位で行いました。
広背筋と同様に、起始部が身体背面、停止部が前面にあるためです。
広背筋が大円筋の背後から前方へ回り込むように、密着しながら走行していますが、両筋を鑑別するのは、難しくはありません(停止部のかなり手前から合している場合もありますが)。
上腕の位置(肢位)が変わると、両筋の位置関係も変わるのですが、そのことに少し混乱されたでしょうか。


腹直筋の起始部は恥骨結合、恥骨結節、停止部は剣状突起、第5〜7肋軟骨です。
起始部である恥骨結合、恥骨結節の触察では、パンティ・ワークをお伝えしました。
停止部は、個々の胸郭の形状によって(肋軟骨に付着しているので)、かなり個人差があります。


骨盤周囲の骨指標+αの触察は、後面、前面に分けて行いました。
後面では、上後腸骨棘、下後腸骨棘、大坐骨切痕、坐骨棘、坐骨結節、閉鎖孔、坐骨神経、仙骨外側縁、第4・5腰椎棘突起、第5腰椎棘突起、正中仙骨稜、第3・4後仙骨孔などを触察しました。



前面では、上前腸骨棘、鼠径靭帯、恥骨結節、大腿筋膜張筋起始部、縫工筋起始部、腸腰筋、大腿神経、大腿動脈、恥骨筋起始部、下前腸骨棘、大腿骨頭などを触察しました。


