私はこのあたりで、歩みを緩めて、振り返ってみなければならない。
鮮明だった記憶の数々が、今は遠くなり、少しずつ薄らいでいく。
ところが、それらはからだの奥深くに、多くの痕跡として残っており、ふとした行為の中に、また動きの中に、度々立ち現れる。
母がクモ膜下出血で倒れ、亡くなるまでの24年の間に、私はボディワーカーになった。
私は、多くの怒り、絶望、悲しみを体験した。
何かが、私を鋳直しているようだった。
私は熱されて、激しく打たれる鉄だった。
確かに愛はあったが、それは感情とは別物なのだ。
言葉を失った母とは、言葉では話さなかった。
今日は、「傾聴」について振り返りたい。
・・・
いつだったろうか、傾聴が生まれた。
傾聴は行為ではなく、起こることなのだ。
自然との間に起こるのと同様に、人と人との間に起こることなのだ。
人は目で聴き、手で聴き、からだで聴くが、耳では滅多に聴かない。
言葉が邪魔をして、耳では「聞いて」しまうから。
・・・
果たして、「聴く」とは、力の類だろうか?
聴く者と聴かれる者とは、関わり合い、変わり合う。
人も、動物も、木も、聴き合うことで、関わり合い、変わり合う。
私にとっては、どうだろう?
私は触れ、巧むが、本当は聴いている?
私は話すが、本当は聴いている?
私は聞くが、本当は聴いている?
・・・
聴くことは、在ることに近く、行うことからは遠い。
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◇斎藤瑞穂氏3作目の著書である『筋膜リリース コツのコツ』(Kindle版)は、ボディワーク初心者の方にも、プロで活躍されている方にも、筋膜リリースの実践的な参考書としてお勧めです。
2018年08月11日
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