2018年08月11日

遠くなる記憶、からだに残る痕跡

私はこのあたりで、歩みを緩めて、振り返ってみなければならない。
鮮明だった記憶の数々が、今は遠くなり、少しずつ薄らいでいく。
ところが、それらはからだの奥深くに、多くの痕跡として残っており、ふとした行為の中に、また動きの中に、度々立ち現れる。

母がクモ膜下出血で倒れ、亡くなるまでの24年の間に、私はボディワーカーになった。

私は、多くの怒り、絶望、悲しみを体験した。
何かが、私を鋳直しているようだった。
私は熱されて、激しく打たれる鉄だった。
確かに愛はあったが、それは感情とは別物なのだ。

言葉を失った母とは、言葉では話さなかった。


今日は、「傾聴」について振り返りたい。
・・・
いつだったろうか、傾聴が生まれた。
傾聴は行為ではなく、起こることなのだ。
自然との間に起こるのと同様に、人と人との間に起こることなのだ。

人は目で聴き、手で聴き、からだで聴くが、耳では滅多に聴かない。
言葉が邪魔をして、耳では「聞いて」しまうから。

・・・
果たして、「聴く」とは、力の類だろうか?

聴く者と聴かれる者とは、関わり合い、変わり合う。
人も、動物も、木も、聴き合うことで、関わり合い、変わり合う。

私にとっては、どうだろう?
私は触れ、巧むが、本当は聴いている?
私は話すが、本当は聴いている?
私は聞くが、本当は聴いている?

・・・
聴くことは、在ることに近く、行うことからは遠い。


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タグ:傾聴 聴く
posted by baucafe at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇徒然日記
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