2013年01月29日

言葉について/『これがボディワークだ』より

乳幼児は、「快―不快」などの単純な印象で世界を見分けていきます。それが成長のある時点から、言葉なしに世界を見分けることが不可能になってきます。たとえば、「愛」などの抽象的な概念は、言葉なしには明確に体験できません。言葉によって体験はしだいに組織化され、世界認識が形成されます。


同じことを表現し、伝えようとしても、言葉の用い方が異なると、相手にとってはまったく別のものを指し示すことにもなります。セッションでの言葉がけを例に挙げると、背臥位のクライアントに対し膝の屈曲を指示するとき、「膝を天井へ向けて少し持ち上げてください」と言うのと、「膝の後ろを施術テーブルから少し浮かせてください」と言うのとでは、クライアントの体験はまったく異なってきます。


言葉は私たちの認識を変えます。身体に関して言えば、言葉は身体を分割し、明確化します。その結果、分割された部分を制御可能にします。たとえば、身体のある部位が「肩甲骨」と名づけられ、他から区分されると、その部分の操作が可能となります。「体幹語」のボキャブラリーを豊かにすることで、体幹における知覚・運動能力は実際に向上します。
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