生月誠 前田基成 東條光彦 2003 腕感覚への留意反復の心理的効果に関する研究 カウンセリング研究,36,115−120.
自律訓練法に含まれる手続きとして、「身体部位への受動的注意集中」というのがある。要するに、身体の特定部位(本研究では、腕である)に注意を向け、その部位の感じをそのままに「味わう(感覚する)」というものである。
本来の自律訓練法では、その後に「暗示公式の繰り返し」という手続きがあって、つまり、心の中で「腕がおも〜い」「お腹があたたか〜い」などを繰り返すのであるが、それによって安静感を得ようとする。
本研究では、その「暗示公式の繰り返し」を省き、「身体への受動的注意集中」を行なうだけで、何らかの心理的な効果が得られるかどうかを実験(リラクセーション講座の受講生42名を対象)を行なって検討している。
結果は、「身体への受動的注意集中」だけでも、「暗示公式の繰り返し」を行なうのと同様に「安静感」「受容感」があり、腕感覚の表現内容(「腕にこんな感じがある・・・あんな感じがある」)が豊かになったという。
ボディワークに当てはめて考えると、クライアントに対して、触れられた感じに受動的に(そのままに)注意を向けるように促せば、それだけでクライアントの安静感が増すことになる。また、どんな身体感覚があるのか質問する(受容的な態度で聴くのがよいであろう)のも効果的かもしれない。
身体感覚に受動的な注意を向ければ安静感を味わえることを、セッションのときだけでなく、日常でも知ることができれば、私たちの、身体との付き合い方も変わるであろう。
2013年01月31日
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