あるクライアントさんから、「パフォーマンスを行いながらの脱力法」がないかと聞かれました。「脱力することでパフォーマンスの質が上がる」といった内容のツイートを読まれたそうです。
そのクライアントさんは、パフォーマンスを習っているのですが、緊張しがちなタイプだそうで、そのツイートを読まれて、「脱力ができれば心身ともに緊張しないかもしれない」と思われたそうです。
そこで試してみたら、脱力は意外と上手くできたそうですが、肝心のパフォーマンスは、バランスを崩したり、注意散漫になったりで、上手くいかなくなったそうです。
かえって「質が下がった」ように思われたそうですが、やはり「脱力」が「鍵」ではないかと思えたので、前述のように質問されたそうです。
脱力は有効ですが、「常に」というわけではありません。ですから、パフォーマーに対して「常に」脱力(法)を教示、指導するのは間違いです。
パフォーマンス・レベル(達成する課題がどのようなものか)、およびパフォーマーの状態によって、心/身の「覚醒(≒緊張)レベル」を変える必要があります。
つまり、必要なのは「脱力」ではなく「覚醒レベル」の制御なのです。
以前、武術指導を見学させていただいたことがあります。
2時間ほどの見学でしたが、その時間の中で、指導者(師範)から何度か「力を抜きなさい」という言葉が発せられるのを聞きました。
それは、すでにある緊張に対して向けられた言葉か、あるいは「心」に向けられた言葉で、「身体」には「適度の緊張(tonus/張り)」を作らせるためだろうと、勝手に解釈して聞いていました(例えば、「完全弛緩」では立つことさえできません)。
ベスト・パフォーマンスを達成するためには適度の緊張が必要です。
パフォーマンスの指導者は、脱力(あるいはリラックス)するように伝える(働きかける)前に、パフォーマンスの条件、クライアント個人の状態などに目を向ける必要があるでしょう。
2013年02月08日
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