2013年02月09日

解剖学書によって異なる「解剖学」が伝えられる(過去ブログより再録)

どの解剖学書も意図を持って作られている。私たちは手にした解剖学書がどんな意図で作られたものなのか知っておく必要がある。
2枚の画像を見ていただきたい。

両者とも腸肋筋(脊柱起立筋の一つ。上の画像は最長筋も描き込まれている)を描いたものであるが、その違いは著しい。上の画像は触察解剖学書の、下の画像は通常の解剖学書の掲載図版である。
なぜこれほど異なるのであろうか?

理由は、上の画像は触察を目的とした解剖学書であるから、腸肋筋を腰腸肋筋、胸腸肋筋、頸腸肋筋と分けて描いたとしても、それらを明確に触察によって区別することは困難であるため、三者が分けて描かれていない。
それに対し下の画像は通常の解剖学書であるため、腸肋筋が三部位に分かれることを視覚的にも明確に示さなければならず、三者が完全に分かれた形状で描かれているというわけである。

どの解剖学書にも意図があり、それによって全く異なった「解剖学」が伝えられる。解剖学を学ぶ者はこのことを覚えておかなければならない。

腸肋筋1部.jpg

腸肋筋3部.jpg
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