2013年02月22日

触察の楽しみ(4)/「ポケット」に関する覚書

「ポケット」と呼ばれる部位は、多くは筋間にある。
ポケットの中は、通常は平面的で、曲面であっても非常になだらかだ。
ツール(この場合は手指)が進入すると、その進入に連れて、ポケットは徐々に開かれる。すなわちポケットは、「潜在的」な空間と言える。
指先を動かして探ったり、大きく移動したりすると、この「潜在的空間」は開かない。手指は、この空間を形成する面上に留まらなければならない。過大な動きは、ツールをこの面上から引き離し、ポケットの外へ連れ出してしまうのだ。


身体には、手指の入り込める隙間が多くある。私たちはこれらを「ポケット」と呼ぶ。
深部筋はポケットの中に入っている。例えば大胸筋ポケットの中には、小胸筋、前鋸筋などが、長内転筋/薄筋ポケットの中には、短内転筋、大内転筋など(このポケットの裏側には、小転子とそこに付着する腸腰筋がある)が入っている。

(注)ここに挙げた深部筋は、どれもポケットからはみ出ている。前鋸筋、大内転筋の全長は、ポケットよりもある。


股関節を屈曲+外転+外旋させた状態で、長内転筋/薄筋ポケットへ進入すると、短内転筋、大内転筋、小転子、腸腰筋、恥骨筋などに触れることができる。屈曲の角度を深くすると、外閉鎖筋にも。


前腕部にはポケットが少ない。…例えば、橈骨に直接到達できる、総指伸筋、短橈側手根伸筋、長母指外転筋の3筋が接する部位とか…。


大腿部の筋群はハンモック状にぶら下がる(他の部位でも同じことが起こるが、特にこの部位では)。だから、姿位(背臥位、腹臥位、横臥位)が異なれば、ポケットへの進入角度も異なる。


神経管リリースを行うためには、神経管が収まるポケットへ進入する必要がある。それらの多くは長いポケットだ。例えば、坐骨神経管が収まる内外ハムストリングスのポケットや、大腿神経管が収まる縫工筋下のポケット。


深部筋群の触察では、「関節感覚」(固有感覚)が頼りだ。触覚だけでポケットの位置を見出すことは、非常に難しい。
手指を傷めたり、疲労させてしまうのは、「関節感覚」が使えておらず、ポケットのない場所を無理に押している可能性がある。
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