2013年02月23日

魔法の方法、コーディネーション運動(過去ブログより再録)

東根明人 宮下桂治 2004 もっともっと運動能力がつく魔法の方法 主婦と生活社

現在、「コーディネーション」という言葉は、スポーツ・トレーニングの世界では普通に使われている。それは、「身体を巧みに動かす能力」のことである。
1970年、旧東ドイツのスポーツ運動学者が「コーディネーション理論」を考案し、その後、長年に渡って研究が進められてきた。現在では、この理論に基づいた「コーディネーション運動」が、様々な種目のスポーツのために数多く考案されている。
コーディネーション運動は、身体の動きをコントロールする情報系・神経系のトレーニングとして位置づけられる。簡単に言うと、身体をスムーズに動かすために、脳の神経回路を作り、学習し、記憶するトレーニングである。

本書では、子供の運動能力を伸ばすための方法として、遊びの形にアレンジされたコーディネーション運動を紹介している。「ゴールデンエイジ」と言われる、8〜12歳くらいの神経系の発達の著しい年代に、幅広く多様な動きのトレーニングを実践することによって、運動を行なう回路がより精密に作られる。そして、その精密な回路が、将来の複雑で高度な技術習得に大いに役立つのである。

コーディネーション能力は、7つの能力に分けて考えることができる。すなわち、「リズム能力」「バランス能力」「変換能力」「反応能力」「連結能力」「定位能力(空間認知能力)」「識別能力(操作能力)」の7つである。ただし、実際の運動では、これらの能力が1つ1つ単独で機能するのではなく、複数の能力が組み合わされ、相互に関連し合いながら行なわれる。
以下に、7つのコーディネーション能力の簡単な説明を本書から抜き書きする。
1.リズム能力: リズム感を養い、動くタイミングを上手につかむ。
2.バランス能力: バランスを正しく保ち、崩れた態勢を立て直す。
3.変換能力: 状況の変化に合わせて、素早く動きを切り替える。
4.反応能力: 合図に素早く反応し、適切に対応する。
5.連結能力: 身体全体をスムーズに動かす。
6.定位能力: 動いているものと自分の位置関係を把握する。
7.識別能力: 道具やスポーツ用具などを上手に操作する。

コーディネーションのトレーニングは、運動をする上で欠かせない神経系や感覚器の機能を高めるものなので、競技スポーツだけでなく、リハビリテーションのために行なうスポーツや、レクリエーション運動としても有効である。とは言え、ただ単純にトレーニングすればよいというものではない。個々人の目的や条件、資質に応じた特性を理解した上で、トレーニング・プログラムを作ることが大切である。
posted by baucafe at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇読書
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