今回の触察対象筋は、半膜様筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、膝窩筋の9筋でした。
またその他に、下腿部と足部の骨を全て、筋肉触察の指標となる部位に留意しながら触察しました。
かつ今回は、それぞれの部位(今回の範囲の)を正確に触察することができると、施術において何ができるかを、デモンストレーションでお見せしながら進めました(ほとんどは、受講生に皆さんにも行っていただきました)。
今回は、半膜様筋と大腿二頭筋の触察実習からスタートしました。
ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)に関する説明、および半腱様筋の触察実習は、前回すでに終了していました。


前回、大腿四頭筋、内転筋群、縫工筋などを、今回、ハムストリングスの触察を行いました。
前回もお伝えしましたが、これらの筋群に触れ、それぞれを鑑別でき、筋以外の主要な軟部組織も含めた「繋がり」を知り、「張力」を感受できれば、施術(ファシャワーク)で多くのことが可能です。
どのようなことが可能なのかを知っていただくために、以下のようなデモンストレーションを行いました。
◇大腿筋膜を操作する(数秒)ことで、膝関節の形状(構造)が変わり、違和感が解消する。
◇LDH(lumbo-dorsal hinge)と第12肋骨(注1)の周囲で、大腿部から連続する膜組織(膜連続体)を操作する(これも数秒)ことで、股関節、膝関節、肩関節などの可動域が大幅に広がる(肘関節に関しては、術前・術後をお見せするのを忘れましたが、肘関節にも変化が起こっていたはすです)。(注2)
(注1)ロルフィングの創始者であるアイダ・ロルフ博士が「身体のどこか1箇所にしか触れることができないとしたら、どこに触れますか?」と聞かれて、「第12肋骨」と答えたそうです。
そのことを知って(シン・インテグレーションのトレーニングの際)、この部位に関する研究を始めました。
(注2)このテクニックは、10月31日に開催する「筋膜リリース体験ワークショップ」でも体験&習得していただく予定ですので、お楽しみに。
後者の施術については、受講生の皆さんにも行っていただきましたが、皆さん、即時に結果を出されていました。
次に、下腿部と足部の骨を触察しました。
特に、足部に関しては詳しく行いました。

足部の関節を正確に触察できれば、やはり多くのことが可能です。
例えば、そこに圧と張力を適切にかけることで、足部の柔軟性は容易に高まり、足底のアーチも立ち上がります。
当然、全身のバランスも変化します。
この部位に関わっては、触察手技+αで行える関節モビライゼーションのデモ(2、3秒の施術)をお見せしました。
ただし、関節モビライゼーションと言っても、主に膜連続体の張力を利用した方法です。
受講生の皆さんにも行っていただきましたが、どなたも良い結果を出されていました。
後半は、下腿部の筋群を触察しました。
前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋、腓腹筋、ヒラメ筋、膝窩筋、足底筋と順調に進みました。
それぞれ、ホールドの仕方、ムーブメント指示の出し方などで難しい所が多々あるのですが、受講生の皆さんは、それらも難なくこなしていました。


今回は、カリキュラム終了後、皆さんの希望に合わせて、余った時間を使い、リンパ管に対する施術をお伝えしました。
お伝えしたのは、左右静脈角付近で、リンパ管に対して働きかける方法ですが、「リンパ・マッサージ」や「リンパ・ドレナージュ」と言われる方法とは、全く異なる手技を用いるものです。
この方法は、鎖骨周囲の解剖学を知っていれば(もちろん触察できなければなりませんが)、容易にできます。
リンパ・マッサージの経験者(施術者)の方もいらっしゃいましたが、手技によって何が行われているのか、何が起こっているのかを体感することができたようです(さすがです)。
また、短い時間で施術法もマスターされました。
肩部、腕部の動きやすさと共に、頸部、肩部、腕部を中心に、全身の爽快感を味わっていただけたかと思います。