2026年02月21日

心の中に葛藤がある?

「心の中に葛藤がある」などと言いますが、それはいつも心の表面にあります。
心の奥底には様々な矛盾する考えが存在しますが、それらは対立せずに平和に共存しています。
ですから葛藤など起こりません。

「矛盾する考え」と言いましたが、正しくは「矛盾するように見える考え」です。
もっと正確に言うと「意識からは矛盾するように見える考え」です。

ですから、鍵かっこに入るような「矛盾」ですが、この矛盾する考えの中から1つの考えが意識に浮上します。
それで、「私の考えはこうだ」と意識は気づきます。
けれども、その考えが周囲に受け入れられなければ、社会的動物である人間は、それを公にはしません。
そして別の考えを探そうとします。
心の奥底では、つまりは無意識は、1つの考えがダメなら、別の考え、あるいは正反対の考えを臨機応変に選んで、意識に放り投げます。

意識は浮かんできた新しい考えに驚きながらも、前の考えとの矛盾を理屈・屁理屈で何とかごまかすか、ごまかせないで思い悩みます。
この思い悩みが「心の中の葛藤」です。
無意識は涼しい顔で「バーカ」なんて言っているかもしれません。

心の奥底にいくつもの矛盾する考えを持つことは、ずっと、私たち人間の生存戦略でした。
「外敵」に対処するにも、また仲間に対しても、いくつもの考えを持っているほうが安全ですから。
しかも、それらの考えがかち合わないほうが有効です。

最近の人類は、だいぶ心の表面が分厚くなってしまって、言い換えたら、頭でっかちになってしまって、心の奥底を圧迫するようになっていますが、この奥底は「矛盾」を生きる強さを持っています。

意識を納得させる説明としては、アクセルとブレーキの例はどうでしょうか?
アクセルとブレーキは反対の作動をしますが、それらの間には葛藤などありません。それらの正反対の作動によってクルマは安全に目的地に辿り着けるのです。



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自ら学ぼうとしないかぎり何も学べない

あなたが何かのスクールに通っているからといって、あるいはセミナーに参加しているからといって、学んでいるとは限りません。
あなたがいつもの散歩道を歩いているからといって、学んでいないわけではありません。
学びとは詰まるところ、全て「独習」「独学」なのです。
例え学びの場にあろうと、意識的に自ら学ぼうとしないかぎり何も学べません。
スクールやセミナーの場にいるだけで、例えば学びが自動的にあなたに「注入される」。
そんな都合のよいことは決して起こりません。



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2026年02月20日

長掌筋について

長掌筋は、10pを越える長い停止腱を持ちますが、その腱は骨部ではなく、手掌腱膜という軟部組織に停止しています。
また、その長い腱が目立つこともあり、隣接する他の筋肉を見つけるための指標となります。
腱が目立つ理由は、「浅層にあって長いから」というだけでなく、手関節を越える他の浅層筋群が屈筋支帯の下層を通るのに対し、長掌筋だけは、屈筋支帯の上を通るからです。
例えば、長掌筋の停止腱と橈側手根屈筋の停止腱とは、見分け難い場合がありますが、屈筋支帯がある場所で「ぼんやり」してしまうのが橈側手根屈筋腱、「はっきり」したままなのが長掌筋腱です。


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2026年02月19日

鑑別触察をしやすくするために

【解剖学的な働き】
解剖学で言うところの筋肉の"function"、つまり「働き」は、その筋肉が持つもともとの働きをベクトル分解したものです。
なぜベクトル分解するかというと、そうしないと、もともとの自然な働きの方向は、簡単には記述できないからです。
例えば外腹斜筋を例に挙げてみると、解剖学的な働きは、体幹の「反対側側屈」「反対側回旋」です。
そしてもともとの働きは、その中間的な動きです。
その中間的な動きは、なかなか説明が難しいですね。
記述がややこしくなりそうです。

【オープンパスの触察】
オープンパスの触察では、受け手に対象筋を働かせてもらいながら行うのですが、解剖学的な、ベクトル分解された働きと、もともとの働きの両方を知っておくと、大変に便利です。

ちなみに、受け手に筋肉を働かせてもらいながらの触察の利点は、触察者が筋肉の形状や働き方を把握しやすいだけでなく、受け手も触察されている筋肉がどこをどう走行しているのかを体感できることです。
アスリートやダンサーのようなパフォーマーには、これってかなり有利です。
オープンパスのボディワーク個人セッションをこのために使うプロの方もいらっしゃいます。
アスリートの方々は試合成績が上がったり、ダンサーの方々は動きが洗練されてパフォーマンスが上がったりなどの確かな結果が出ています。

【触察で鑑別するために】
さて、話をもとに戻します。
解剖学的な、ベクトル分解された働きと、もともとの働きの両方を知っておくと、大変に便利と言いましたが、これは触察時の話になります。
かつ、重なって走行したり隣接して走行したりする筋肉どうしを鑑別、つまり触り分けする際に、特に便利です。

【上腕二頭筋と上腕筋の例】
いくつかの筋肉の触察を例に挙げて話します。
まずは、上腕二頭筋と上腕筋の触察に注目します。
これら2筋は重なって走行し、しかも働きが似ています。
受け手にもともとの働きをしてもらうと、両筋とも活動するので、鑑別はかなり困難です。
上腕二頭筋には「前腕を外に捻じりながら肘を曲げ、かつ上腕を上げる」という働きがあり、上腕筋には「肘を曲げる」働きがあります。
解剖学的にこれら働きをベクトル分解すると、上腕二頭筋は、「前腕の回外」「肘関節の屈曲」「肩関節の屈曲」の3動作。上腕筋は「肘関節の屈曲」の1動作。
両筋の働きを比較し、共通しない動きを使ってそれぞれを触察すればよいのです。

具体的に言うと、上腕二頭筋の場合には、受け手にテーブルなどに肘をついてもらい、「回外」の動きを指示すれば、上腕二頭筋が強く活動するので、簡単に上腕筋と鑑別できます。
テーブルに肘をつくことで屈曲位にはなっていますが、上腕筋は最大屈曲になるまでは、柔らかくしか活動しないので、問題ありません。

上腕筋を触察する場合には、もう1つ知っておきたい知識があります。
それは「相反抑制」という反射作用です。
どういうものかと言うと、主動作筋が活動するときに拮抗筋がお休みするという神経反射です。
この神経反射を利用して、上腕二頭筋の持つ「前腕の回外」という働きと逆の働きである「前腕の回内」を使うのです。
つまり、「前腕の回内」をしながら「肘関節の屈曲」をすると、上腕二頭筋がお休みして、上腕筋だけが働くわけです。
加えて言っておくと、上腕筋に「前腕の回内」の働きがあるわけではありません。

【長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の例】
次に例に挙げたいのは、ちょっと長たらしい名前が付いた2筋です。
長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋です。
この長たらしい解剖学名ってイヤですね。
まあ、だけど、解剖学名って漢字を読み解くと、位置とか走行とかもだいたい分かるしかけになっています。
まあ、例外もありますが。
長橈側手根伸筋は、「長く、橈骨側にあって、手根部まで走行している、伸展する筋肉」となります。

また、脱線しました。
話をもとに戻します。
長橈側手根伸筋も短橈側手根伸筋も、どちらもベクトル分解した解剖学的働きは、手関節の「背屈」と「橈屈」です。
両筋は、一部分重なりながら隣接していますが、これでは鑑別が不可能ですね。
それで、これら2筋については、それぞれもともとの働きを使います。
じつは、もともとの働きは少し違っているのです。
長橈側手根伸筋は、起始部が外側顆上陵、停止部が示指中手骨底背側です。
それなので、この筋を触察する際に受け手にしてもらうのは、停止部である示指中手骨底背側を起始部である外側顆上陵に近づける動きです。

それに対し、短橈側手根伸筋はちょっとクセ者で、起始部が外側上顆、停止部が中指中手骨底背側なのですが、走行の途中にリスター結節を滑車にして方向を変えます。
それなので、この筋肉の場合には、停止部である中指中手骨底背側をリスター結節に近づける動きを使います。
これら両筋のもともとの動きを使うと、意外と容易に鑑別できてしまします。

以上2例で示したように、触察する際には、ベクトル分解した解剖学的な働きが役に立つ場合もあれば、もともとの働きが役に立つ場合もあります。
両方を覚えておけば便利です。


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2026年02月18日

大臀筋が歩行をどうサポートするのか

今回は大臀筋についてお話しします。
大臀筋が歩行をサポートすることについて話したいと思います。

大臀筋は、矢状面といって、体を前から見て縦に割った面上での動きを制御します。
分かりやすい例は、「お辞儀」がこの面上での動きです。
人間は二足直立歩行することによって、脊柱が湾曲しました。
この湾曲を生理湾曲と言いますが、脊柱の下端にある大臀筋も働きを変えました。

大臀筋は、四足動物では、主に後ろ脚を横に上げる働きをしていました。
これは外転ですね。
四足動物では、体の横に走行していた大臀筋は、人間では、立ち上がったことによって体の後ろに移動し、いわゆる「おしり」となったのです。

私たちが歩き始めると、前へ進む勢いが付いてきます。
私たちが急に歩きを止めても、この勢いはすぐには止まりません。
これを「慣性の法則」と言います。
そして、私たちの上体を前方に押し出し、放っておけば、勢いよく私たちにお辞儀のような動作をさせます。
頭から地面に落ちたりして、大怪我しそうです。

これを後方から止める役割が、大臀筋にはあります。
つまり大臀筋は、一歩ごとに体が前に倒れないように制御しています。
私たちがスムースに歩けるのは、大臀筋のおかげなのです。


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2026年02月17日

態度と姿勢

「ある態度をとる」というのは、身体的なものです。

あなたがある対象に「ある態度をとる」というのは、つまりその対象に向けて、「ある姿勢をとる」ということなのです。

あなたが誰かのことを話しているとき、あなたの姿勢はその誰かに向かいます。
たとえその誰かが目の前にいなくても。

あなたがある出来事について話しているとき、あなたの姿勢はその出来事に向かいます。
今その出来事を体験しているかのように。

ボディワーカーがひとの話を聞くとき、話の内容を聴き取ると同時に、この身体的なものを見ています。
ボディワーカーはそういう「傾聴」を行います。

態度とは、何かに向かう姿勢です。
クラウチングスタートの際に、ピストルの音を待っているような状態だと思ってください。

この状態は良くも悪くもあります。
あなたの姿勢が「何に向けたものか」によります。

この姿勢によって、あなたは問題を解決したり、起こしたり、あるいは幸運の波に乗ったり、乗れなかったりするわけです。

「不運なことが続くな」とお思いなら、いちど、あなたの姿勢を通して、ものごとに向けたあなたの態度をチェックしてみるのもよいかもしれません。



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浅筋膜は「滑走させる」が適切

不具合が起こった浅筋膜への働きかけは、「リリースする」というより「滑走させる」のほうが適切かと思います。
まあ、「リリース」の定義にもよるでしょうが。

浅筋膜は表層を覆って全身に広がり、連続し、身体運動に合わせて滑走します。
この滑走が何らかの理由で妨げられると、身体運動に抵抗がかかります。
体感的には、例えばMサイズの体がSサイズの服を着ているような、そんな動きにくさでしょうか。

この状態を解消するためには、浅筋膜が滑走する状態を作る必要があります。
「リリースする」「滑走させる」は、言葉の違いだけではありません。

浅筋膜の「滑走」は手技的にも、いわゆる「筋膜リリース」とは違ってきます。


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2026年02月10日

股関節の後方支援部隊

今回は「臀部深層外旋6筋」の話をします。
梨状筋、大腿方形筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋の6つの筋肉を合わせて「臀部深層外旋6筋」と言います。
ボディワーカーの間では、簡単に「ディープシックス deep6 」と呼ばれています。
これらの働きは、名前のとおり外旋ですが、これらは言ってみれば、股関節の「後方支援部隊」です。
股関節のちょうど後方に位置し、その働きを支持します。
股関節は球関節なので、多方向に動くため、その動きを支持するクッションのような働きをします。
このクッションの張り(張力)は、股関節の動きにちょうどよい程度の強さになっています。
特に股関節が屈曲する際には、大腿骨頭が少し後方へ移動するので、その移動を柔らかく受け止めてくれます。
もしこのクッションの張りが弱ければ、股関節屈強の動きが不安定になり、もし強ければ、骨頭の移動は阻害され、どちらにしても股関節に不具合が起こります。
特に強すぎる場合には、鼠径部周辺に疼痛が生じたりします。



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2026年02月08日

クライアントの世界を捉えるために

【瞑想に囚われて】
若い頃、私は瞑想に「囚われて」いました。
その当時、瞑想を通して得られるのは、意味づけをせずに、経験に「汚されずに」見る能力だと思い込んでいました。
しかし、それは自分には無理なことだと思い知り、しだいに瞑想から遠ざかっていきました。

最近、その当時読んでいたクリシュナムルティの本を引っ張り出して、ページをめくってみました。
赤茶けたページにこんな文章を見つけました。
「…そのときこの世は意味を帯び、天と地はその本来の美を不断に開示する」
大野純一さんの訳です。

え、「意味を帯び」? クリシュナムルティって、意味づけをせずに物事を見ることを教えていたのではなかったの? そう思いました。
とんだ勘違いでした。びっくりしました。
びっくりした気持ちのまま久しぶりにクリシュナムルティを読んでみると、再びびっくりしました。
そこにはクリシュナムルティが見出した「意味の豊な」美しい世界が展開していました。
この本が赤茶けて初めて分かった「意味の深み」でした。

【意味の世界に住んでいる】
私たちは意味なしに物事を見ることはあません。何かを見ると、そこにはすでに意味があります。
というのも、知覚は私たちの内部で起こるからです。決して外部で起こるのではありません。
だから、私たちは意味の世界に住んでいます。
意味のない感覚の印象で構成される世界に住んでいるわけではありません。
瞑想に囚われていた当時の私は、そういう世界に住んでみたいと思っていたわけですが。

意味を見出すことは、物事の間に、そして物事と自分との間に関係性を見ることです。
つまり知覚するとは、捉えられる全体から、しかも即時的に意味を推察することです。

【クライアントの話を傾聴するとは】
クライアントとの初回面接の際、私たちボディワーカーはきちんと傾聴する必要があります。
これは単に「細かく」「詳しく」聞くということだけではありません。
クライアントの世界を捉えようとしなければならないということです。

クライアントは痛みや不具合の感覚、あるいは「もっと思い通りに動きたい」など、体の問題を訴えるでしょう。
クライアントの目が向くのは、そういう痛みや不具合、動かしにくさであり、クライアントはそういう世界に住んでいます。
そうした感覚や思いがあり、クライアントの希望はその世界を変えてほしいということです。

【世界を広げる】
ボディワーカーはクライアントの訴えから、その世界を推察しなければなりません。
そして、クライアントの問題を解消できるくらいに、その世界を「広げて見る」ことから始める必要があります。
カウンセリングは、そしてまた姿勢分析もそのために使われます。

例えば、痛みが今あるのなら、その来歴を聞き、これまでのプロセスを聞き、クライアントの「世界」の時間的延長を行います。
また、怪我など突発的な出来事によるのか、普段の姿勢や動作によるのかを聞き、その「世界」の空間的延長を行います。
「空間的」というのは、怪我か習慣かで体に起こっている事が違い、その「範囲」も違ってきます。その「範囲」や「構造」つまり「関係性」のことです。
怪我の場合、もう少し進めて、怪我の仕方などを細かく聞けば、なぜその怪我をしたのかの要因がわかるかもしれず、「範囲」を知る助けになるでしょう。
また、ボディワーカーにそれを聞く能力があれば、その「世界」の感情的延長を行うこともできるでしょう。というのも、クライアントの訴えに感情的世界が大いに関わるケースもあるからです。

次に、丁寧な傾聴で得た内容にプロとしての体を見る目を重ねて、なお「世界」を広げていきます。つまり姿勢分析の作業です。
指標が正常な位置にあるかどうか細かく辿るのも大切でしょうが、姿勢分析はクライアントから聴取した内容を全身に重ね合わせる作業と考えたほうがよいでしょう。



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2026年02月05日

お腹と腹部、背中と背部は範囲が違う?

お腹と背中の境目って、普通のイメージでは、胴体を横から見て、ちょうどその中央辺りでしょうか?
解剖学的な「腹部」と「背部」の境目は、もっと後ろにあります。
具体的には、腰背筋膜、腰背腱膜がある部分です。
単純に、腹筋群の1つである腹横筋が腰背筋膜から起始しているからです。
さて、腹筋群には腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の4筋がありますが、腹直筋は腹部中央に、腹直筋鞘に包まれる形で走行し、その両外側に、浅部から深部に向かって外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋が重なって走行します。
体幹下半をぐるっと見回すと、腹直筋を包む腹直筋鞘と脊柱起立筋群を包む腰背筋膜との間を外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋が埋めているような構造となっています。



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