2014年12月22日

第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第3回

12月21日、第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第3回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。

今回の講義では、ソマティカルワーク・セッションの流れと目的、ソマティカルワークとファシャワークの意図と意義、および「解釈フレーム=物語性」(私たちの世界認識の1戦略)について説明しました。
これまで斎藤講師が研究してきた、ソマティクスの思想面も加えての説明となりました。
詳しくは斎藤講師のブログ記事をお読みください。

講義の後は、講義内容を念頭に置いての実技練習となりました。
ソマティカルワークには、定型のテクニックなどないので、セッションで実際に用いられる技術をデモンストレーションでお見せしながらの実習となりました。

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2014年12月08日

第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第2回

12月7日、第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第2回が開催されました。


実習:ソマティクス体験導入のために

一人称、無人称、注意分散(注1)、受動的注意集中(注2)をキーワードに、5つの演習を行いました。
演習1:注意を操作することで、神経系に働きかける。
演習2:反射的な身体反応を利用してソマティクスを体験する(身体全体の動きを導き出すことで)。
演習3:反射的な身体反応を利用してソマティクスを体験する(上肢の動きを導き出すことで)。
演習4:身体運動と注意集中、体性感覚(化)と視覚(化)を用いて、感覚を変化させる。
演習5:イメージを用いて身体運動を喚起する。

(注1)注意の範囲を広げる、広い範囲に注意を向ける。
(注2)現状態、起こることを批判せず解釈せず注目する。

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講義:言葉がツールとなる

言語論(ソシュール−メルロ=ポンティの系譜(注3))について講義しました。
言葉と認識の関係、私たちが言葉によって世界を切り取り、切り分ける方法、生体験から世界認識が形成されるプロセスについて話しました。

(注3)ランガージュ(langage)、ラング(langue)、パロール(parole)のうち、ソシュールはラングを、メルロ=ポンティはパロールを重視します。
ソマティカルワークでは言葉(言葉がけ)を主なツールとして用います。
ソマティカルワーカーにとって、言語と認識に関する知識は必須。

また、言葉の意味を、1)行為・行動、2)動作、3)身体運動に分割し、自覚的に用いることについて話しました。

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2014年11月24日

第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第1回

11月23日、第2期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニングがスタートしました。
第2期は単位数が第1期の倍近くとなり、テキスト内容もソマティカルワークを、そしてオープンパス・メソッド(R)を1つの「体系」としてお伝えできるように斎藤講師が再構成しました。

オープンパス・メソッド(R)は、技術の寄せ集めではなく「技法体系」です。
オープンパス・メソッド(R)を学習するために、「パルペーション」「ファシャワーカー養成」「ソマティカルワーカー養成」「インテグレーティブワーカー養成」という4トレーニング(後3トレーニングによる3つの認定資格)がありますが、これらはトレーニーの皆様にオープンパス・メソッド(R)を段階的に学習していただくための分割で、本来的には1つの技法です。

オープンパス・メソッド(R)は、技法体系として「思想」「技術論」「技術」という3分野を含みます。
「パルペーション」から「インテグレーティブワーカー養成」までの4トレーニングとも、これら全てを含みますが、「思想」の中心的な部分は全て「ソマティカルワーカー養成」に含まれています。
ですから4トレーニングのうち、「ソマティカルワーカー養成」がオープンパス・メソッド(R)を学習する上で「核」となるトレーニングであると言えるでしょう。

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オープンパス・メソッド(R)の鍵概念は、「クライアント・センタード」です。
オープンパス・メソッド(R)の思想も技術も、この鍵概念によって支えられています(もっと言えば、この鍵概念から生じています)。

「クライアント・センタード」と言う場合の「クライアント」を、オープンパス・メソッド(R)では2つの意味に捉えています。
1つは「〈私 I/ego〉としての人間」、もう1つは「〈からだ soma〉としての人間」です。

オープンパス・メソッド(R)では、身体学(somatics)を用いて前者を「一人称のからだ」、後者を「無人称のからだ」として、また身体理論(諸科学)を用いて前者を「意識者」、後者を「非意識者」として説明します。
そして、臨床的にこれら2者と相対する技術を有しているのはもちろんです。


第1回である今回は、講義でソマティカルワークの背景となる思想(オープンパス・メソッド(R)の思想)について時間をかけて説明し、演習では簡単なテクニックを用いて〈からだ soma〉体験をしていただきました。

【演習:重さを感じる】
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【演習:角度を感じる】
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【演習:名前を付けて動かす】
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2013年03月18日

第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング最終回

3月17日、第1期ソマティカルワーカー養成トレーニング最終回を開催。
今回は外部の方々をお招きして、クリニカル・セッティングのセッション。要するに「試験」でした。

以前のブログにも書きましたが、ソマティカルワークとは、マニュアル・テクニック(施術)を用いずに、ムーブメント(道具の使用などを含めて)誘導と、感覚情報への留意、また意識化されていない感覚情報の意識化などを通じて、速やかに変化を起こすテクニックで、「ソマティクス」における技術的な部分です。

このクラスでは、今回も個性的なテクニック、セッションが続出しました。これほど「本番」に強いクラスはないでしょう。

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終了後、このクラスのメンバーで、あるプロジェクトを立ち上げる話を。その後、全員参加で打ち上げとなりました。
宴の席では、色々な話題が飛び出しました。大変に楽しく心地よい時間を過ごせました。

モデル参加の皆様、ありがとうございました。

受講生の皆様、ありがとうございました。

2013年03月11日

第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第8回

3月10日、第1期ソマティカルワーカー養成トレーニング第8回を開催。
今回はソマティカルワークの交換セッションを行った。次回に外部の方々を招き、クリニカル・セッティングでセッションを行うのため、その準備という形。

ソマティカルワークは、マニュアル・テクニック(施術)を用いずに、ムーブメント(道具の使用などを含めて)誘導と、感覚情報への留意、また意識化されていない感覚情報の意識化などを通じて、速やかに変化を起こすテクニックだ。
今回も個性的なテクニック、セッションが続出。

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2013年03月04日

第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第7回

3月3日、第1期ソマティカルワーカー養成トレーニング第7回が開催されました。

今回の講義では、コーディネーション(co-ordination)能力の解説を行いました。
よく言われる「運動神経がいい」というのは、「持久力」や「筋力」が優れているというより、「身体を巧みに動かす能力」が優れていることを意味するでしょう。「コーディネーション能力」とは、この能力のことです。
「持久力」や「筋力」は、トレーニングを休めばすぐに低下してしまいますが、「コーディネーション能力」はそうではありません。この能力は、情報伝達系(神経系)に働きかけることで作られ、鍛えられるものなので、「脳−身体(筋肉)」の回路が覚えており、簡単には低下しません。

「コーディネーション能力」は7つの項目に分けられます。すなわち、「リズム能力」「バランス能力」「変換能力」「反応能力」「連結能力」「定位能力」「識別能力」の7つです。
それぞれ簡単に説明すると、
「リズム能力」:感覚した(目で見た、耳で聞いた)動き、イメージした動きを、身体で表現する能力
「バランス能力」:上手にバランスを保ち、たとえ転びそうになったり、よろけたりしても、体勢を立て直すことができる能力
「変換能力」:急に状況が変わっても、その変化した状況に合わせて動作を機敏に切り替えることができる能力
「反応能力」:1つまたは複数の情報(信号、合図、スタート音、指示の声)を素早く察知して、目的に合った正確な動作を行う能力
「連結能力」:身体各部の筋肉や関節を、力の加減やスピードを調節して、無駄なく動かす能力
「定位能力」:動くもの(飛んでいくボール、味方や相手の選手)と自分の動きとを関連づけて調節する能力
「識別能力」:道具(ボール、ラケット、ハンドルなど)の操作を精密に行う能力
となります。

講義では、以上の能力を高めるために利用できるソマティカルワーク・テクニックと、一般に使えるテクニックとを併せてお伝えしました。

実習では、参加者の皆さんにsoma(からだ)体験をしていただきました。
「ソマティクス」は、その研究者たちによって「一人称の科学」と呼ばれていますが、この呼称は事実の半分しか表していません。somaは「一人称」によって探求されますが、「無人称」によって経験されるからです。今回の実習は、somaを「無人称のからだ」と定義し直した上で行いました。

最初に、簡単なエクササイズによってsomaを体験していただきました。次に、その体験にもとづいて、コーディネート(co-ordinate)された動きの中で感覚していただきました。
soma体験の後は、自由課題の形でソマティカルワークの交換セッションを行いました。皆さん、かなり腕前を上げています。

2013年02月18日

第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第5回

2月17日、第1期ソマティカルワーカー養成トレーニング第5回が開催された。
今回が「折り返し地点」となる。


今回の講義内容は以下のとおり。
(1)動作を誘導する際の言葉がけ
(2)ソマティカルワークの実例
(3)「一人称の科学」?
(4)ソマティカルワーク・セッションの流れ
(5)ソマティカルワークの目的
(6)ソマティカルワーク・セッションで活用する技術

(1)動作を誘導する際の言葉がけ
動作を誘導する際の言葉がけは、個々のクライアントによって異なるはず。カウンセリング(インタビュー)の際に、クライアントの話によく耳を傾け、話し方に目をやることで決まってくる。すなわち、クライアントの言葉使い、よく使う感覚、自然に行う動作を取り入れて組み立てる。
補助資料として、言葉がけの例を配布。

(2)ソマティカルワークの実例
事故によって左半身に障害を負ったクライアントの例に関して話した。
事故後3年経過、左半身マヒの状態から、ソマティカルワークを適用することによって、左足の踏み込み、左手のリーチ&把持動作(しかし、手指の細かい動きは依然困難)が可能になった。用いた技法は「感覚移植」「動作の細分化」など。

(3)「一人称の科学」?
ソマティクスが、動作、身体運動に影響を及ぼすならば、その効果は、「一人称(意識)」を超えて「無人称(非意識)」に到達しているのだ。

(4)ソマティカルワーク・セッションの流れ
この流れはファシャワーク・セッションと同様で、以下のとおり。すなわち、予約の受け付けから始まり、インテーク、姿勢・動作分析、セッション、フィードバック、宿題の取り決め、という流れ。

(5)ソマティカルワークの目的
ファシャワークと対比して話した(先日のカルチャー講座に関するブログ記事をご参照ください)。

(6)ソマティカルワーク・セッションで活用する技術
前回まで実習してきた各技術を表にまとめて配布&説明。


実習では、今回からセッションの(ペアになって、互いにカウンセリング+分析+ワークし合う)形式で行った。
人数(奇数)の関係で、斎藤と私が順番で参加した。
私の相手は、Oさん。以前、私の五十肩をファシャワークで改善してくださったオープンパス・ボディワーカー。Oさんのソマティカルワークで、私の肩はより自由になった。

2013年02月11日

第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第4回

2月10日、第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第4回が開催された。

講義では、今回が折り返し地点ということで、これまでお伝えしてきた、ソマティカルワークの背景となる理論について大枠で(全体を簡単に見渡せるような形で)解説した。
標題としては、以下のとおり。
(1)ファシャワークとソマティカルワークの違いについて
(2)学習について
(3)陳述的記憶と非陳述的記憶について
(4)記憶について+ワーキングメモリについて
(5)学習による生物学的な変化について

(1)ファシャワークとソマティカルワークの違いについて
以下のことを説明した。ファシャワークは末梢(筋骨格系、特に筋膜を始めとする軟部組織)に、ソマティカルワークは中枢(脳神経系)に働きかける。前者の手段は主に手技であり、後者は言葉がけである。前者では軟部組織の、後者は脳神経系の構造と機能に関する知識が必要である。

(2)学習について
ソマティカルワーク(ソマティクス)における「学習」の定義について、また「学習」研究の歴史(古典的条件付け、オペラント条件付けから…)について話した。

(3)陳述的記憶と非陳述的記憶について
陳述的記憶にはエピソード記憶、意味記憶があり、非陳述記憶には手続き記憶、習慣記憶、慣れなどがあることを説明した。また以上を意識、非意識に関連付けて話した。

(4)記憶について+ワーキングメモリについて
@感覚記憶、短期記憶、長期記憶について、A(感覚記憶に関係づけながら)感覚のモダリティ(様式)について、Bワーキングメモリ(中央実行系、視空間スケッチパッド、音韻ループ、エピソード・バッファー…)について解説した。

(5)学習による生物学的な変化について
学習によってシナプス結合が変化するということを、西洋思想における「心身問題」に関係づけて話した。

実習では、以下3項に基づいた技法を行った。
(1)身体運動の細分化(言葉がけの練習)
(2)学習の転移(筋感覚運動イメージを用いて)
(3)アイソメトリックを利用した筋の活性化

どの技法とも、ファシャワークとは異なる体験をしていただけたかと思う。

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2013年01月28日

ソマティカルワーカー養成トレーニング第3回終了

27日、第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第3回が終了した。

今回の講義は脳神経科学的な説明を省いて行った。テキストの内容もその部分は前もって変更した。事前の準備として、斎藤がテキストを作り直すのに合わせて、私のほうはテクニックに関する補助的な資料を幾つか作った。
以前に書いた「メタ理論」「技術論」「技術」で言えば、今回は「技術」の部分を強調する形となった。

実習では、注意を転換させたり、運動パターンを変えたりするテクニック(「図と地を交換する」「図を拡大する」「動きの起点を変える」など)を行った。

2013年01月19日

ソマティカルワーカー養成トレーニング第2回

今日は、第1期オープンパス認定ソマティカルワーカー養成トレーニング第2回が開催された。

今回は、「ソマティクス」という技法体系に対する理解を深めていただこうと、意図して質疑応答の形で講義を進めた(この形が有効だったか否か…)。技法の内容を「メタ理論」「技術論」「技術」に分けて説明した。また「ソマティクス」を説明する際のキーワードとして、「固有感覚/体性感覚」「一人称」などが挙げられることをお伝えした。
技術面では、「注意(の用い方)」を重視すること、またその理由を説明した。

実習では、「見えない場所(≒部位)を動かす」「場所を特定して動かす」という技術を行った。
実習に関連して、「言語(言語学)」が話題となった。ちなみに、言語を習得するというのは、言葉によって世界を切り取り、少しずつ切り分けていくことだ。そのようにしてボキャブラリーが増えることで、世界は区分され、細かく識別されていく。言わば、言語習得は認識習得に等しい。