2015年06月28日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング・クリニカルセッション第2回(本トレーニング最終回)

6月28日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング・クリニカルセッション第2回が行われました。

クライアントモデルの皆様、クリニカルセッションへのご参加、またご意見、ご感想をありがとうございました。

受講生の皆様、本トレーニングへのご参加をありがとうございました。
クリニカルセッションを含めて全15回(7か月半)、お疲れ様でした。

受講生の皆様とは、勉強会などを通じて今後も交流できればと思っています。
今期のカリキュラムの大半を占めた疼痛解消テクニックは、特に熟練を要する技術ですので、継続的に練習する必要があるかと思います。
私たち講師も、皆様にこの技術をお伝えする中で、学ぶことが少なくありませんでした。
今後とも互いに刺激し合い、研鑽していきましょう。


〈今回のセッション風景〉

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2015年06月15日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング・クリニカルセッション

6月14日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング・クリニカルセッションが行われました。

おいで下さったクライアントモデルの皆様、ありがとうございました。

受講生の皆様、お疲れ様でした。
また、マッサージテーブルの搬入・搬出をお手伝い下さり、ありがとうございました。

今回のクリニカルセッションに関しては、クライアントモデルの方々から高い評価をいただきましたが、同時に、多くの課題もあらわになりました。


クライアントの訴えとボディワーカーの見立てが、常に一致するとは限りません。
ボディワーカーが高度な見立てを行う場合には、一致しない場合のほうが多いかもしれません。
そのようなとき、ボディワーカーはクライアントの訴えをよく聴き、適切に情報を提供し、どのような方向でセッションを進めるのか、合意に達するまで話し合わなければなりません。
この合意に達する過程で「主訴」(注)が形成され、施術によって解決する対象となるので、この部分を曖昧にはできません。

(注)「クライアントの訴え≠主訴」となります。
これは、オープンパス・メソッド(R)独自の捉え方です。

ボディワーカーの全ての手技が「主訴」に関わって為されるのですが、そのことがクライアントにとって明確でない可能性がある場合には、必ず説明を行います。

以上は、「クライアントセンタード」という、オープンパス・メソッド(R)の思想に基づいたセッションスタイルですが、この部分が、実践の中では簡単なようで難しく、今回もこれを抜かして進めてしまったがために、その分、クライアントの満足感が低くなってしまったセッションも少なからずありました。


私は今回、受講生の方々の上達度を知りたかったので、クライアントモデルとして2セッションを受けました。
インテグレーティブワークでは、その前段階であるファシャワーク、ソマティカルワークの技術も統合的に用いなければなりませんが、今回、私を担当して下さったワーカーには、特に疼痛解消をお願いしました。
最終的には、幾つかあった疼痛は解消し、姿勢や動作などがかなり改善しました。

問題点を言えば、ホールディング(支持技術)に緊張があることで、疼痛解消に要する時間が長くなってしまうこと、ワーカー自身が体力を浪費するような姿勢を取ってしまうことの2点でしょうか。

ホールディングは、できるかぎり力まないように、脱力して行う必要があります。
例えば、抱えたり握ったりする力が強いと、クライアントの「痛み感」は必ず増します。
逆に、ほんの少し力を抜くだけで、クライアントの痛みは低減し、ときには消え去ります(このことを体験していただく機会もありました)。


疼痛解消テクニックは、熟練が必要な技術だと思いますが、今期生の方々は、数回の実習でかなりのレベルまで達していると思います。
2週間後に、第2回のクリニカルセッションが行われますが、今日の体験を糧にして、より「結果」の出せる、クライアントモデルの方々を満足させることができるセッションを目指して下さい。

2015年06月01日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第13回

5月31日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第13回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。

次回、次々回がクリニカル・セッション(外部からクライアントを募集して行う実践的セッション)ですので、それに備えての最終チェックということで、前回に引き続き30分のショート・セッションを行っていただきました。

今回も、疼痛解消テクニックを用いたセッションを行っていただきましたが、トレーニーの皆さんは、よく頑張られたと思います。
疼痛解消テクニックは、斎藤が考案したイーズポイントリリーステクニックを基礎に、小川が数年をかけて築き上げたものです。
数ヶ月という短い時間にしては、習得度は高いと思います。

2015年05月25日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第12回

5月24日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第12回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回は、前半に内臓操作実習を、後半にショート・セッションを行いました。


前半の内臓操作実習では、大網と小腸との癒着を解消するテクニック、腸間膜(根)のストレッチ・テクニック、各臓器の操作を行いました。

オープンパス・メソッド(R)では、内臓操作を行う際に、合成運動を重視します。
合成運動とは、自発運動(motility)と受(可)動運動(mobility)とが合成された運動ということです。
自発運動とは、内因的な、つまり各臓器自らが発する運動のことです。
それに対して受動運動とは、外因的な、つまり横隔膜の運動や心臓の鼓動などに受動的に反応する動きのことです。(注)

(注)ここで用いている「合成運動」「自発運動」「受(可)動運動」などには、オープンパス・メソッド(R)独自の意味を持たせています。

オープンパス・メソッド(R)では、膜連続体を通して全身、多系(筋骨格系、脳神経系、循環器系、呼吸器系、消化器系など)に働きかけます。
ただし、各系の臓器に対して(特に筋骨格系、脳神経系以外の臓器に対しては)、主機能(血液循環、呼吸、消化、吸収など)を改善する目的で働きかけるのではなく、それらを構造物(身体構造の要素)として捉え、身体運動を援助する器官として扱います。

身体構造や運動機能を整えようとする際に、身体内に存在する(を満たす)臓器を施術の対象から除外することはできません。
身体内に存在するかぎり、それら臓器は重量と形状によって、身体運動に影響を与えます。
バレエのピルエットは、腸間膜の柔軟性と小腸の遠心力に助けられます。
競輪では、骨盤内の臓器が柔軟であるほうが有利です。

全ての臓器には、固有の運動(自発運動)がありますが、それら臓器を構造物とし、構造全体の要素であると考えるのであれば、合成運動(自発運動+受動運動)が重視されて当然でしょう(ホーリズムの思想にも適うことです)。
合成運動は、膜連続体の動き(それに連続した動き)として感受でき、全体の動きに含まれる部分の運動として扱うことが可能です。


個々の臓器に働きかける際には、「自発運動+受動運動」と「受動運動」との差異に注目します。

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内臓操作を行う際に、ワーカーは、クライアントの肢位、自分の支持手技に注意しなければなりません。
例えば股関節屈曲の角度が少し違うだけで、あるいはワーカーの手がどの部位を支えるかで、合成運動が大きく違ってきます。
逆に考えれば、ワーカーは、クライアントの肢位と自分の支持手技を工夫することで、施術の効果を上げることができるということです。

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後半のショート・セッションは、疼痛解消テクニックを主とした内容で行われました。
1組ずつ、他の全員の前で30分のセッションを行い、終了後に意見交換をしました。
様々な意見が出され、互いに質問し、答え合い、実りの多い時間になったと思います。
膜連続体の動きを捉えることが、まだ少し難しいようでしたが、痛みを解消することには成功していましたし、同時に身体構造の調整もできていました。

2015年05月11日

触察から傾聴へ/第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第11回

5月10日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第11回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「内臓操作(その1)」でした。

オープンパスが末梢神経操作、内臓操作、脈管操作を独自に開発するに至ったのは、ごく自然なことでした。
身体の構造を探求し、運動機能の向上、回復を追求していけば、筋骨格系を対象とする方法だけでは足りません。
身体の構造、機能を突き詰めるほど、「解決できない問題」は増えていきます。

神経系、消化器系、循環器系などには、それらが持つ主機能に加えて、身体を支持し、運動を援助/補助する機能があります。
オープンパス・メソッド(R)・ワーカーは、そうした機能を理解し、不具合があれば働きかけます。

考えてみれば、ファシャ fascia は筋骨格系だけでなく、他の系に含まれる全ての器官を個々に、あるいはグループごとに覆っているので、ファシャを対象にすれば、全ての系に含まれる器官が対象となるのは必然かもしれません。

ファシャは全身を隈なく覆いながら連続していますが、それが包む器官、走行する部位によって異なる名称が付けられています。
オープンパス・メソッド(R)では、ファシャ全体を単一の器官と見なし、「膜連続体」と呼んでいます。

今期トレーニングでは、初回から前回(第10回)まで、この膜連続体を感覚し、その状態を見極めて効果的に働きかける実習をしてきました。
これまで、ファシャワーク(ファシャワーカー養成トレーニング時とは観点を変えて)、疼痛解消テクニック、頭蓋操作を学んできましたが、どの方法でも膜連続体を感覚することが基礎となります。

また今期は、この膜連続体の感受に関して、特別な指導を行ってきました。
「感覚すること」のレベルを、各テクニックの実習を通じて、「触察」から「傾聴」へと少しずつ上げてきました。
今回は、内臓の動き(受動的/外因的運動 + 能動的/内因的運動)を追う実習を行いましたが、これなどは完全に「傾聴」レベルの感受です。

* 今期は、上に挙げた末梢神経操作、内臓操作、脈管操作のうち、内臓操作にかぎってお伝えしますが、次期には他の2テクニックの指導も行っていく予定です。


今回の講義では、腹部内臓の形状と位置関係、腹膜と内臓との位置関係について説明しました。
最初に、腹部内臓(その並び方や形など)の図を、参加者の皆さんに描いていただきましたが、どなたが描いたものも、ほぼ正解に近い図でした。
その後、腹膜が内臓との関係でどのような構造になっているのかを図説しました。

この図は発生を表わしているわけではありません。
腹膜と内臓との位置関係を表わしています。発生
の過程で、腹膜外の臓器が腹膜の中に入ることは
ありません(出ることはありますが)。
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肝臓、胃の高さでの発生を説明しました。
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実習では、肝臓、胃、横行結腸、小腸、膀胱、上行結腸、下行結腸、腎臓などを触察し、それらの個々に特徴的な動きを感受(傾聴)しました。
今回は、「受動的/外因的運動」と「能動的/内因的運動」の合成運動が対象でした。

まずは胸骨弓を指標にして肝
臓の動きを捉えます。
吸気と共に肝臓が下降します。
わずかに前転しながら、右下
方へ押し出されます。
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胃の動きを追います。
わずかに前転しながら、左側方へ転倒
します。
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小腸領域を触察します。
ずいぶん不規則に動いています。
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膀胱の動きを追います。
膀胱の動きは仙骨の動きに同調するので、それを
利用しながら。
後上方へ動いて戻ります。i1-11-6.jpg
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上行結腸を両手指で挟み込むようにして捉えます。
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第12肋骨を指標にして腎臓を捉えます。
前転、下方移動、外側回旋、下部が開きます
(外側移動)。
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2015年04月26日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第10回

4月26日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第10回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「頭蓋操作(その3)」でした。

今回は前回に引き続き演習を行いました(背景となる理論については、前々回に講義しました)。
演習内容は、以下3テクニックの実践練習でした。

1.顎関節の調整テクニック
2.緊張性頭痛の解消テクニック
3.椎間関節の調整テクニック


1.顎関節の調整テクニック
顎関節症に対しても適用できるテクニックとしてお伝えしました。
側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋、顎舌骨筋を対象として行いました。
施術中、それら筋群を支持する膜連続体の張力変化を正確にモニターしなければならない(そうしないと良い結果を出せません)ことが、少し難しいかもしれません。
このテクニックは、単独で用いて十分に効果がありますが、前回の「頭蓋骨どうしの関係改善テクニック」の後に行うと、より高い効果を期待できます。

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2.緊張性頭痛の解消テクニック
頸部に働きかけることで頭蓋をリリースし、緊張性頭痛を解消するテクニックです。
後頭下筋群、頸部伸筋群、頸部屈筋群、胸鎖乳突筋を対象として行いました。
膜連続体の変化をモニターすることは、1.のテクニックと同様です。
重力と各筋の作用(function)を利用したホールディングを行います。
ワーカーの(立ち)位置、姿勢、ホールディング、モニタリングが正確である必要があります。

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3.椎間関節の調整テクニック
@ 胸椎、腰椎の調整テクニック
棘突起、横突起、肋骨突起、肋骨などをハンドルに用いて胸椎、腰椎を精確に調整していきます(胸椎、腰椎を頭蓋の延長部として扱います)。
椎骨どうしの位置関係、椎間のスペース、それらを取り巻く膜連続体の張力を変化させることで、胸椎、腰椎を調整します。

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A 頸椎の調整テクニック
棘突起、関節突起、横突起の前結節、横突起の後結節をハンドルに用いて頸椎を精確に調整していきます(頸椎を含め、軸骨格全体を頭蓋の延長部として扱います)。
2.で行ったホールディングは腕全体(正確にいえば、もちろん全身)を用います(「関節技」のように見えるかもしれません(笑))が、この頸椎調整テクニックでは、手指を繊細に用いて行います。
椎骨を動かす範囲も数ミリ以内です。
素早く、面白いように、頸部にある疼痛が解消され、形状が見た目にも明らかに(もちろん身体構造も)変化するのですが、ワーカーの動きが外から見て分からないので、マジックのようです。
この頸椎調整テクニックを行った後は、軸骨格全体が大きな影響を受けるので、必ず腰椎や骨盤周囲でフォローワークをする必要があります。

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2015年04月12日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第9回

4月12日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第9回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「頭蓋操作(その2)」でした。

背景となる理論に関しては、前回の講義で説明したので、今回は演習を行いました。


頭蓋操作では、最初に(筋系に働きかける前に)頭蓋骨どうしの関係を改善しますが、その過程で全身に変化が及びます(それも狙いの1つです)。
特に胸郭(胸肋関節、肋椎関節)、脊柱(椎間関節)、骨盤(恥骨結合、仙腸関節、腰仙関節)などに、即時、明らかな変化が生じます。

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胸郭、脊柱、骨盤の骨格構造(骨どうしの関係)に働きかけることで、頭蓋で出した結果を維持できます(一時的でないだけでなく、変化が持続します)。
オープンパス・メソッド(R)における頭蓋操作では、膜連続体、筋骨格系、体液系、認知系などを通じて全身に留意し、変化を起こします。
特に頭蓋から骨盤までを、1つの「機能体」として捉えます。

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対象とする系によって、圧の方法、程度(強圧は用いません)を変えます。
認知系に影響を及ぼすために、クライアントの参加を促す手続きが多く含まれています。

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次回は、顎関節の調整法(今回は時間の関係で、デモンストレーションのみ行いました)と緊張性頭痛の解消法を実習する予定です。

2015年03月09日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第7回

3月8日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第7回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「疼痛解消テクニック(その5)」でした。

今回の前半は、疼痛に関する講義から始めました。
ボディワークが技術的に疼痛を扱えると言っても、医療の代わりにはならないし、ボディワーカーは医者の真似事をしてはなりません。
最初に、改めてそのことをお伝えしました。

クライアントが疼痛を訴えたなら、最初に病院で診察を受けること、医療的な検査を受けることを勧めなければなりません。
私たちがそのクライアントとセッションの時間を持てるのは、その後のことです。

例えば、クライアントが頭痛を訴えたとします。
頭痛には、ボディワークで扱えないもの、あるいは医療でないと症状を解消できないものがあります。

群発性頭痛や突発性片側頭痛、あるいは部位的に近いものとして三叉神経痛や舌咽神経痛などは、薬物で対応しなければなりません。
私たちが扱えるものは、緊張型頭痛、あるいはトリガーポイントに関わるような症状などです。


今回の講義の中心は、疼痛が発生するプロセスに関するものでしたが、以上のことを考えると、ボディワークが対象にできる疼痛は、筋痛症の類であり、要するに、負担のかかる姿勢や動作などが原因で発生するものでしょう。

負担のかかる姿勢は筋緊張を伴いますが、それが続くと、筋の持続的収縮(筋収縮インパルスの連射)が起こるわけです。
また、負担のかかる動作(例えば過剰な負荷、急激な動き)によって、筋が過剰に(あるいは急激に)伸長されます。
そうなると、筋紡錘は反射緊張度を増し、高い緊張レベルに再設定(高い緊張が持続・維持)されてしまいます。
結果として、筋の拘縮、体液循環の低下が起こり、酸素不足、血管の過剰な増殖(神経線維を伴う)、発痛物質の発生などを招きます。


続く講義では、侵害受容器による伝達、新・旧脊髄視床路などに関して簡単に図説しました。
痛みの心理的(認知的)側面に関しても、以前に説明していたこともあり、簡単に触れるに留めました。


実習では、受講生の方々のリクエストにより、肩関節周囲炎に対するアプローチ(主にホールディングの方法)、圧痛点の探し方に関わってデモンストレーションを行い、その後に受講生とうしでペアを作ってのショート・セッションとなりました。

疼痛解消テクニックは、(1)膜連続体、(2)筋生理(主に筋紡錘)、(3)体液、(4)認知(記憶)という4項に対して、同時並行的にアプローチします。
それにより、素早く大きな効果を上げることができるわけですが、そこが難しいところでもあります。
しかし、今回で疼痛解消テクニックの実習は5回目になることもあり、受講生の皆さんの上達度はかなりのものです。

◇以下の画像は、今回の実習風景です。
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◇的確なホールディングが大き
な効果を生みます。(斎藤講師
の施術)
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2015年02月09日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第6回

2月8日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第6回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「疼痛解消テクニック(その4)」でした。


疼痛解消テクニック(注1)には、高い効果を期待できます。
このテクニックは、オープンパスが約3年をかけた研究の末に、昨年(一部、一昨年の夏)からセッションで用い始めたのですが、その疼痛(完全)解消率は、現時点で7割を超えています(26ケース中。現時点で、連絡が取れるケースに限って、疼痛解消に関する最終セッション後、6ヶ月以上経過して再発していない場合のみ)(注2)
改善率で言うと、優に9割を超えています。

(注1)慢性疼痛に対するテクニックです。
(注2)肩こり、腰痛の解消、膝痛、および病院を受診し、ヘルニア、坐骨神経痛、線維筋痛症などと診断され、通院するも、症状の改善の見られなかったケースの疼痛解消(あくまでも、症状ではなく、疼痛のみの解消)。

セッション数で言うと、早ければ1〜3回で、長引いても週1ペースなら5回くらいで、かかっても10回あれば良い結果が出ます(「週1ペース」というのが大事なところです。疼痛解消後の構造変化がかなり大きいので)。


今回は、疼痛解消テクニック・シリーズの4回目となるので、技術の精度を上げることを目標に演習を行いました。
痛みに関する聞き取り(どこに痛みがあるのか? どんな動きが阻害されるのか? どんな動きが痛みを悪化させるのか? など)から始め、圧痛点の発見、ホールディングの方法、微細動の感得を実習しました。
最初にデモンストレーションをお見せして、その後、ペアを組んで行いました。

デモンストレーション:問題部位から膜連続体の影響(張力)を一時的に取り去るためのホールディングを説明、同じ部位に対して3通り行う
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疼痛を解消するだけであれば、数秒(5、6秒ほど)で事足りますが、膜連続体を通して「疼痛構造・機能」を変化させなければ(施術は、筋紡錘、体液、記憶という3レベルで行われます)、疼痛は再発する可能性が高いです。
微細動(牽引、膨隆、流動)を通して、構造変化を追わなければなりません。

実習風景1:骨盤部に対して
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実習風景2:肩部に対して
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2015年01月26日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第5回

1月25日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第5回(講師:斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回のテーマは「疼痛解消テクニック(その3)」でした。

今回は、疼痛解消テクニックにおける3つの働きかけ(注1)とホールディング(注2)の復習を行いつつ、新たに疼痛部位および関連部位で感覚できる微細動について学びました。

(注1)筋線維(筋紡錘)に働きかける、体液循環を促す、記憶を改変する、という3つの働きかけ。
(注2)疼痛部位を弛緩させる目的で行います。また、その部位に関わる関節を狭める、あるいは周囲の骨群を近づけることによって行います。

疼痛解消の施術時には、疼痛部位および関連部位に、牽引膨隆流動の3つの微細動を感じ取る必要があります。
牽引というのは、(全身どこを触れても)疼痛部位に向かって収縮する動きのこと、また疼痛部位を押圧した際に関連部位で感じる、疼痛部位に引き寄せられる動きのことです。
これは膜連続体の動きと言えます。
膨隆は、頭数部位を押圧したときの反発力、また同期して関連部位で感じる、手指を押し上げる動きのことです。
これは押圧による、身体の物理的な反発力および膨張によるものです。
流動は、体液循環手技によって起こる動きで、皮下を波紋のように広がり、その後、身体中心に方向転換する、流れるような動きです。
これは体液の動きと考えてよいかと思います。

今回もデモンストレーションをお見せしながら、実習を進めました。
疼痛解消テクニックは、疼痛構造に働きかけるものでなければなりません。
デモでもお見せしましたが、疼痛を解消するだけならば、数秒(5、6秒)で事足ります。
しかしそれでは、数日中に症状は戻ってきます(戻ってくる確率が高いです)。

疼痛解消テクニックはその場で結果を出せるだけでなく、それが持続します。
たとえ症状が戻ってくるとしても、それを支える構造が弱化しているので、痛みの程度は低減しているし、容易に取り去ることができます(連続した数セッションを計画する必要はありますが)。

疼痛解消テクニックを適用して、「疼痛がやや楽になる」「改善したように感じる」というのでは、それは機能していないと言ってよいでしょう。
疼痛解消テクニックが機能しているのなら、「痛みがまったくなくなった」「ほとんど改善した」ということになるでしょう。
熟練が必要なテクニックではありますが、多数の方がすでにそのような結果を(後の結果は経過観察が必要ですので、「その場では」ですが)出せたようです。

しかし、まだ習得度は十分ではありません。
次回も引き続き、このテクニックを学ぶ予定です。