5月24日、第1期
オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第12回(講師:
斎藤瑞穂、小川隆之)が開催されました。
今回は、前半に内臓操作実習を、後半にショート・セッションを行いました。
前半の内臓操作実習では、大網と小腸との癒着を解消するテクニック、腸間膜(根)のストレッチ・テクニック、各臓器の操作を行いました。
オープンパス・メソッド(R)では、内臓操作を行う際に、合成運動を重視します。
合成運動とは、自発運動(motility)と受(可)動運動(mobility)とが合成された運動ということです。
自発運動とは、内因的な、つまり各臓器自らが発する運動のことです。
それに対して受動運動とは、外因的な、つまり横隔膜の運動や心臓の鼓動などに受動的に反応する動きのことです。
(注)(注)ここで用いている「合成運動」「自発運動」「受(可)動運動」などには、オープンパス・メソッド(R)独自の意味を持たせています。オープンパス・メソッド(R)では、膜連続体を通して全身、多系(筋骨格系、脳神経系、循環器系、呼吸器系、消化器系など)に働きかけます。
ただし、各系の臓器に対して(特に筋骨格系、脳神経系以外の臓器に対しては)、主機能(血液循環、呼吸、消化、吸収など)を改善する目的で働きかけるのではなく、それらを構造物(身体構造の要素)として捉え、身体運動を援助する器官として扱います。
身体構造や運動機能を整えようとする際に、身体内に存在する(を満たす)臓器を施術の対象から除外することはできません。
身体内に存在するかぎり、それら臓器は重量と形状によって、身体運動に影響を与えます。
バレエのピルエットは、腸間膜の柔軟性と小腸の遠心力に助けられます。
競輪では、骨盤内の臓器が柔軟であるほうが有利です。
全ての臓器には、固有の運動(自発運動)がありますが、それら臓器を構造物とし、構造全体の要素であると考えるのであれば、合成運動(自発運動+受動運動)が重視されて当然でしょう(ホーリズムの思想にも適うことです)。
合成運動は、膜連続体の動き(それに連続した動き)として感受でき、全体の動きに含まれる部分の運動として扱うことが可能です。
個々の臓器に働きかける際には、「自発運動+受動運動」と「受動運動」との差異に注目します。




内臓操作を行う際に、ワーカーは、クライアントの肢位、自分の支持手技に注意しなければなりません。
例えば股関節屈曲の角度が少し違うだけで、あるいはワーカーの手がどの部位を支えるかで、合成運動が大きく違ってきます。
逆に考えれば、ワーカーは、クライアントの肢位と自分の支持手技を工夫することで、施術の効果を上げることができるということです。



後半のショート・セッションは、疼痛解消テクニックを主とした内容で行われました。
1組ずつ、他の全員の前で30分のセッションを行い、終了後に意見交換をしました。
様々な意見が出され、互いに質問し、答え合い、実りの多い時間になったと思います。
膜連続体の動きを捉えることが、まだ少し難しいようでしたが、痛みを解消することには成功していましたし、同時に身体構造の調整もできていました。