2015年01月12日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第4回

1月11日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第4回が開催されました。
今回のテーマは「疼痛解消テクニック(その2)」でした。

前回は、ファシャ・リリース・テクニックを応用した疼痛解消法をお伝えしました。
ファシャワーカー養成トレーニングで実習したテクニックの応用ですので、難しくはなかったと思います。
また、ファシャワークを応用することで、容易に疼痛を解消できることに驚かれたかと思います。

今回は、新たな角度から疼痛に対処する方法をお伝えしました。
ファシャワークの要素も含みますが、全体的には全く異なる方法です。
手技の用い方などもファシャワークとの共通点はなく、戸惑われたかと思います。
また、知的に理解するだけでは使えず、ある程度の熟練が必要な方法ですので、実習開始の時点では難しく感じられたでしょう。
実際、実習の際にそういう感想が聞こえてきました。

今回、講師側は、伝授法についてかなり悩みました。
前述したように、ある程度の熟練が必要な方法ですし、技術面でこれまでの方法と連続性がありませんので。
実は、テキストを何度も書き直し、最終的に完成したのは前日(1月10日)でした。
結局、「概説→実習→解説→実習」というプロセスでお伝えすることにし、テキストもそれに合わせた内容となりました。
今回はその前半、「概説→実習」の部分を行いました。

概説では、急性痛と慢性痛について簡単に説明しました。
急性痛が起こる際に、神経系ではボトムアップの情報処理が行われています。
つまり、受容器からの感覚フィードバックを最終的に前頭葉が認知・判断する、という伝達の流れです。
それに対して慢性痛の場合、トップダウンの情報処理が同時に、あるいは単独で行われています(極端な言い方をすれば、身体がなくても痛みは感じるのです)。
前頭葉が頭頂葉から情報を引き出すという形です。

後者の、トップダウンの情報処理によって疼痛が起こるというのが、受講生の方々には分かりにくかったようですが、斎藤講師が幻肢痛の例を挙げて説明することで、理解していただけたようです。

急性痛に対しては、ボディワーカーは「直接的には」何も行えません。
病院で受診することを勧めなければなりません。
慢性痛に対しても、ボディワーカーが対処できるのは、病院での受診後です。
実際、ボディワーカーのもとを訪れるのは、どの病院に通院しても、あるいは多数の病院で治療を受けても治らないといった方々です。
急性痛でボディワークを受けようと思う方は滅多にいないでしょう。

急性痛、慢性痛について説明した後は、疼痛(慢性痛)解消テクニックについて、やはり簡単に説明しました。
慢性痛を解消しようとする場合、疼痛が組織痛(例えば、筋原性)であっても、組織生理(筋生理)を操作対象とするだけでは、その疼痛を解消できない(できたとしても一時的でしかない)ことが多いでしょう。
疼痛の体験を(記憶から)作り出している脳神経系に対して働きかけなければなりません。

今回のテクニックには、疼痛解消のための3つの働きかけが含まれています。
1.筋紡錘に働きかける。
2.体液循環を促進する。
3.記憶を改変する。
(これらの働きかけに対応する、それぞれ別個の手技があります)
また、特別なホールディングと、身体から情報収集を行う方法があります。

実習では最初に、受講生に方々に受け手になっていただいて、デモンストレーションを行いました(その場面を幾つか動画に撮りましたので、後ほどこちらにアップしようと思います)。
このテクニックでは、疼痛部位に働きかけながら、膜連続体を通して全身の構造を変えると同時に、感覚留意を誘導することで脳機能の再編成(記憶の改変)を行います。
その際、施術者の姿勢とホールディングが重要で、それらが上手くいかないと、疼痛は解消できません(姿勢の取り方とホールディングによって、様々な働きかけを行います)。
解消できたとしても(デモンストレーションでお見せしたのですが、単に疼痛を解消するだけであれば、5、6秒で十分です)、構造を変えることができず、疼痛が再発するか、他の部位に痛みが出ることもあります。

例えば、ホールディングを行う手腕では、同時に膜連続体の動きを追います。
疼痛部位に向かって膜連続体が収縮しているので、また多数の疼痛部位があれば、それらの間に複雑に張力が働いています。
疼痛部位の状態が改善されていくと、その張力関係が変化していきます。
それを追い、自然調整を待ち、また調整を加えます。

手技もファシャワークのものとはだいぶ異なります。
例えばファシャワークの浅筋膜操作では、関節可動域を広げるためには、ファシャを丁寧に伸長しなければならず、それなりの圧をかける必要があります。
それに比べて疼痛解消テクニックで用いる手技は、かなりソフトなものです。
デモンストレーションで、その手技を用いて関節に働きかけたのですが、関節の近くをさっとかすめるように触れるだけで、たちまちその関節の動きがスムーズになり、可動域も広がります。
受講生の方々は驚いたようで、「本当ですか!?」「うそ!」という声も上がりました。
しかし、受講生の方々どうしで行っていただくと、同様のことが起こりました。

デモンストレーションの後は、全身に渡るホールディングの例をお見せして、実習に入りました。
以下が実習場面です。

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実習は、疼痛が解消できたり、緩和できたり、また身体構造が改善したりと、良いスタートでした。
この疼痛解消テクニック(その2)については、今回の1回だけで習得することは難しいと思いますので、何回かに渡ってお伝えしていく予定です。

2015年01月09日

テキストを書き直すことになるかも・・・

今度の日曜日に、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第4回がある。
寸前になって、テキストを書き直すことになるかも・・・

第3回から、疼痛解消テクニックのカリキュラムが始まった。
第3回では、疼痛解消テクニックをファシャワークの応用という形でお伝えした。

第4回では、ファシャワークの要素に加えて、受容器、体液系、認知系という3つのレベルに同時に働きかけることで速やかに疼痛を解消する、というテクニックをお伝えする予定。

第4回は詳しい理論からスタートする予定で、すでにテキストを作成した。
しかし、それではこのテクニックを上手く伝えることができないかもしれない、と思うようになった。

今の段階で考えているのは、以下のような進め方。
最初に理論は大枠だけ説明し、すぐに実習に入る。
基本的なテクニック(ワザ、用法)を習得することに時間をかける。
詳しい理論はその後に学習する。
最後に、習得した基本的なテクニックの、特殊事例への適用法を学ぶ。


疼痛解消テクニックの動画(顔面部から頸部、肩部、腕部にかけてのシビレを解消)

2014年12月15日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第3回

12月14日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第3回が開催されました。
今回のテーマは「疼痛について&疼痛解消テクニックの実習」でした。


ボディワークはこれまで、痛みを扱うことを避けてきました。
ところがボディワークの現場では、痛みを避けて通ることはできません。
痛み(肩こり、腰痛、膝痛・・・)を訴えないクライアントさんのほうが少ないからです。
姿勢調整やパフォーマンスの向上を目指すクライアントさんでも、身体のどこかしらに痛みがあるという場合が多いでしょう。

ボディワークが痛みを扱うことを避けてきた理由は多々あるのですが、主には以下のとおりです。
ボディワークはホーリズムを重視し、身体構造、身体機能(注)の全体に働きかけて、それらを整えることです。
痛みを扱うことで、痛みの起こる限られた部位に注目することは、ボディワーク本来の性質、目的から外れてしまいます。

(注)あくまで、筋骨格系あるいは筋膜系における身体構造、身体機能です。

それに対してオープンパス・メソッド(R)は、異なる見解を持っています。
痛み(ただし慢性痛)は「歪み構造」「痛み構造」「痛み機能」という全身を巻き込んだ構造を背景に持っています。
痛みを扱うためには、身体をホーリスティックに見なければなりません。
つまり痛みを扱うということは、身体構造、身体機能に働きかけることであり、そうすることなしに痛みは解消できないと考えます。
痛みを扱うことは、間違いなくボディワークの仕事です。
痛みを扱う技術、技量があれば、痛みを扱うべきです。


国際疼痛学会が以下のように疼痛を定義しています。
An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage
(実質的あるいは潜在的な組織損傷に伴う、あるいはそのような損傷の言葉で述べられる不快な感覚と情動的体験)

この定義から読み取れるのは、直接的な損傷だけでなく、それに情動体験などが「負荷」(注)された体験をも疼痛に含めています。
急性痛だけでなく慢性痛をも含めていると言い換えることもできるかと思います。

(注)痛みの伝達系は系統発生的に古いものであり、変わらず現在まで受け継がれてきました。
それが生物の生存にとって大切なものだからです。
古く未分化なものなので、この神経系には他の神経系が「相乗り」したり、それ自身変わってしまったりもします。


私たちボディワーカーが対応するのが、この慢性痛の症状を持ったクライアントさんです。
いくつもの病院を訪れ、診察を受けて「問題なし」と言われ、治療を受けても改善しない方々が訪ねて来られます。
痛みのある方々が、最初から(病院に行く前に)ボディワークを受けに来られることは滅多にありません。
もしあれば、わたしたちボディワーカーは、まず病院で受診するように勧めなければなりません。


今回は疼痛解消テクニック(その1)をお伝えしたましたが、内容的にはファシャワーカー養成トレーニングでお伝えしたテクニックの延長線上にある方法です(次回にお伝えするテクニック(その2)は、まったく新しい内容となります)。

ペアを組み、交換セッションで互いにテクニックの効果を確かめ合ったのですが、どのペアも、かなり上手く使いこなしていました。
的確に施術の起点(エントリーポイント)を定めることができれば、あとはセッションに運ばれていきます。

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2014年11月30日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第2回

11月30日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第2回が開催されました。
前回(第1回)は、ファシャワーカー養成トレーニングで習得したテクニック群を復習しました。
今回は「膜連続体について(その2)」というタイトルのもと、それらを「深化/進化」させることを目的にカリキュラムを進めました。

ファシャワーカー養成トレーニングでお伝えする技術は、その手順さえ正確に覚えれば、誰でもある程度の結果を出せるように作られています。
ところがインテグレーティブワーカー養成トレーニングでお伝えするファシャワーク・テクニックは、熟練が必要となります。
熟練が必要ということは、時間を要するということで、トレーニング終了後の継続的学習が望ましく、その学習のヒントとなる内容をお伝えすることも、カリキュラムに含まれています。
またそれを必要と思われる方々には、そのような学習を援助する機会を設けたいと思っています。

今回の内容は、大きく3つに分けることができます。
クライアントとボディワーカーの体験に関する講義、膜連続体の歪みの説明、新観点によるファシャワーク演習の3つです。
クライアントとボディワーカーの体験に関する講義には、かなり時間をかけました。

クライアントとボディワーカーは、セッションを共有しますが、互いの体験は異なります(オープンパス・メソッドの用語では「体験の不連続性」)。
そのことを「仮に最初のセッションで起こること」として説明しました。

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詳しい内容は(かなり)長くなるので書きませんが、クライアントに起こることが「1人称的に(〈私〉が)感じる・動く」「感覚を開く」という体験であるのに対して、ボディワーカーに起こることは「〈私〉を離れて技術が発露する(神経系的な回路化による)」「〈私〉は感覚から離脱する(感覚は回路内に組み込まれる)」という体験です。

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演習では、膜走行線の触知、膜走行線の歪みを触知することで問題部位(拘縮、癒着など)を発見すること、遠隔操作(下腿や前腕に働きかけることで、頸部を弛める、及び全身を弛める)、1部位のリリースによって身体バランスを変える技術などを実習しました。

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実習風景
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2014年11月16日

第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第1回

11月16日、第1期オープンパス認定インテグレーティブワーカー養成トレーニング第1回が開催されました。
インテグレーティブワーカー養成トレーニングは、オープンパス認定トレーニング4種(パルペーションファシャワーカー養成ソマティカルワーカー養成、インテグレーティブワーカー養成)のうち最終段階のものですが、この度が初開催となります。

オープンパス・メソッド(R)は、セッションにおいて決まった手順も、全てのクライアントに対して共通に適用するような理想・目標もあえて持たず、クライアント・センタード(クライアント中心主義)という思想のもとにセッションを進めていくため、必要に応じて多様な技術を有するようになりました。
今回はそうした多様な技術の中でも、疼痛解消を始めとする、オープンパス・メソッド(R)に特徴的な、他の多くのボディワークではあまり扱わないものを提供することにしました。
今期のカリキュラムに入れることのできなかった技術に関しては、本トレーニング卒業生対象のセミナー、ワークショップにてお伝えしたいと思っています。

「疼痛解消」などはボディワークの仕事ではないという声が聞こえてきそうなので、お断りしておくと、オープンパス・メソッド(R)における疼痛解消技術は、疼痛という症状だけを取り去るものではなく(もともと、膏薬をはがすように疼痛だけ取れるわけがありません)、疼痛を支える身体構造(オープンパス・メソッド(R)では、「歪み構造」あるいは「疼痛構造」と呼んでいます)を対象に働きかけ、かつ統合する技術なので、すなわち「構造−統合」的なもので、純粋にボディワーク的な技術と言えます。

今期のカリキュラムには、疼痛解消技術の他に、頭蓋骨操作技術、内臓操作技術、セッション演出技術などが含まれています。
時間に余裕があれば、末梢神経操作技術、静脈・リンパ系操作技術なども入れる予定でいます。

今回は、ファシャワーカー養成トレーニングで行った技術を、復習的な内容を含めた上で、強調点を変えてお伝えしました。
次回は、ファシャワークの新たな領域に踏み込みます。

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今期受講生に皆様に本記事の【動画2】で、今回斎藤講師が指導したイーズポイントリリーステクニック応用編「2点アプローチ」を用いています(斎藤、小川とも、互いそのテクニックが同一のものとは意識していなかったのですが・・・)。
ちなみに、疼痛を扱いながら身体構造に働きかけていますので、施術後、全身のバランスが変化します。